歯がしみるのは虫歯のサイン?知覚過敏との違いや治療・予防法を歯科医師が解説
26.10.15
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【はじめに】
「冷たいものを飲むと歯がしみる」「歯磨きの時にピリッと痛む」といった症状は、知覚過敏だけでなく虫歯によって起こる場合があります。しみる痛みだけでは原因を判断しにくく、自己判断で放置すると虫歯が進行してしまう可能性があります。
歯がしみる原因には、虫歯や知覚過敏のほか、歯肉の退縮、歯のすり減り、酸による歯質のダメージなども関係します。ここでは、虫歯と知覚過敏の違いや見分けるポイント、治療法、歯がしみる時にできる対処法について詳しく解説します。

【歯がしみる原因とは】
◇知覚過敏のメカニズム
知覚過敏は、歯の表面を覆っているエナメル質が薄くなったり、歯肉が下がったりすることで内部の象牙質が露出して起こります。
象牙質には細かな管状の構造があり、冷たいものや熱いもの、甘いもの、歯ブラシの刺激などが加わると、歯の神経に刺激が伝わります。その結果「キーン」「ピリッ」とした鋭い痛みを感じます。
知覚過敏による痛みは、刺激を取り除くと比較的短時間で治るのが特徴です。ただし、歯肉の退縮や歯の摩耗など、知覚過敏を起こしている原因への対応も重要になります。
◇虫歯による痛みの仕組み
虫歯は、お口の中の細菌が糖を利用して酸を作り、その酸によって歯が溶かされる病気です。初期段階では自覚症状がないケースも多い一方、虫歯がエナメル質の内部にある象牙質まで進行すると、冷たいものや甘いものがしみやすくなります。
さらに虫歯が歯髄の近くまで進行すると、刺激による痛みが強くなり、刺激をやめても痛みが続くようになります。さらに進行すると何もしていなくても痛む、夜にズキズキする、噛むと痛いといった症状に繋がります。
そのため「歯がしみる」という症状だけで知覚過敏と決めつけず、痛みの特徴や歯の状態を確認することが大切です。

【虫歯と知覚過敏の違い】
◇虫歯の特徴と症状
虫歯は進行度によって症状が変化します。初期の虫歯では痛みがないことがほとんどで、歯の表面が白く濁ったり、部分的に変色したりする程度で発見されます。
象牙質まで進行すると、冷たいものや甘いものがしみるようになります。さらに進行して歯髄まで炎症が及ぶと、刺激を受けていない状態でもズキズキと痛む、痛みが長く続く、夜間に痛みが強くなるといった症状が現れます。
虫歯による痛みは単純に「何秒続いたか」だけでは判断できません。痛みの強さや発生するタイミング、歯の見た目などを総合的に確認する必要があります。
◇知覚過敏の特徴と症状
知覚過敏は、冷たい飲み物やアイスクリーム、冷たい空気などが歯に触れた瞬間に鋭い痛みを感じるのが特徴です。歯ブラシが当たった時や甘酸っぱい食品を口にした時に痛むこともあります。
刺激がなくなると痛みも比較的早く治まり、刺激を受けた時だけ症状が出る傾向があります。
ただし、知覚過敏の症状と虫歯の初期症状は似ています。見た目では判断しにくいため、症状が続く場合は歯科医院で確認することが大切です。

【虫歯の進行段階とその影響】
◇初期虫歯の症状
初期虫歯は、歯の表面にあるエナメル質が脱灰している状態です。痛みやしみる症状がないケースも多く、定期検診などで発見されることが多いです。
この段階では、必ずしも歯を削る治療が必要になるわけではありません。虫歯の活動性や歯の表面の状態を確認し、フッ化物の活用や丁寧な歯磨き、食生活の改善などによって経過を観察します。
一方、明らかな穴ができていたり、汚れが溜まりやすくて進行する可能性が高い状態では、詰め物による治療を検討します。
◇中程度・重度虫歯の症状
虫歯が象牙質まで進行すると、冷たいものや甘いものがしみる症状が現れやすくなります。さらに歯髄に近づくにつれて痛みが強くなり、刺激がなくなった後も痛みが続くようになります。
歯髄まで進行すると根管治療が必要になります。さらに進行して歯髄が壊死すると一時的に痛みがなくなることがありますが、治ったわけではありません。歯根の先に炎症が広がると噛んだ時の痛みや腫れ、排膿に繋がるため注意が必要です。

【知覚過敏の原因とリスク要因】
◇生活習慣が引き起こす知覚過敏
知覚過敏には、日常生活の習慣が関係している場合があります。
例えば、酸性の飲食物を頻繁に摂取すると酸によって歯の表面がダメージを受けやすくなります。炭酸飲料や柑橘類、スポーツドリンクなどを長時間かけて摂取する習慣がある人は、歯が酸にさらされる時間が長くなります。
また、歯ぎしりや食いしばりによって歯に強い力が加わると歯の表面が摩耗したり、歯と歯肉の境目に負担がかかったりします。歯肉が下がって象牙質が露出している人も、知覚過敏が起こりやすいです。
◇歯磨きの方法と知覚過敏
「歯をしっかり磨こう」と考えて、強い力でゴシゴシ磨くのは逆効果です。
硬めの歯ブラシを使って強く磨き続けると、歯肉が傷ついたり、歯の表面が摩耗して象牙質が露出する原因になります。特に歯と歯肉の境目は力が集中しやすいため注意しましょう。
歯ブラシは柔らかめ〜普通の物を選び、毛先を歯面に当てて細かく動かすのが基本です。力を入れすぎず、優しい力で時間をかけて丁寧に磨きましょう。

【虫歯と知覚過敏の見分け方】
◇痛みの持続時間で判断する
虫歯と知覚過敏を見分ける手がかりの一つが、痛みの続き方です。
知覚過敏では、冷たいものなどの刺激によって一瞬〜短時間の鋭い痛みが起こり、刺激がなくなると比較的早く治まります。一方、虫歯が進行して歯髄に炎症が及ぶと、刺激を取り除いても痛みが続く傾向があります。
ただし、痛みの持続時間だけで病気を判断することはできません。虫歯でも短時間しか痛まないケースがあり、知覚過敏でも症状が長引くケースがあります。繰り返ししみる、以前より痛みが強くなった、何もしていないのに痛むといった変化があれば、歯科医院で診察を受けましょう。
◇歯の見た目で判断する
歯に穴や欠け、黒や茶色の変色がある場合は虫歯が疑われます。ただし、着色汚れや歯石でも歯が黒っぽく見えることがあるため、見た目だけで虫歯と判断することはできません。
一方、知覚過敏は歯肉が下がっている歯の根元が見えていたり、歯の表面が摩耗していたりするケースがあります。
歯科医院では目視による確認に加えて、必要に応じてレントゲン撮影などを行い、歯の内部まで確認します。自分では見えない場所の虫歯を発見できる点も歯科医院で確認する大きなメリットです。

【歯がしみる時の対処法】
◇自宅でできる応急処置
歯がしみる時は、冷たいものや熱いものなど、症状を誘発する刺激を避けましょう。
歯磨きでは力を入れすぎず、知覚過敏向けの歯磨き粉を使用する方法があります。フッ素配合の歯磨き粉を使って歯質を強化することも効果的です。
ただし、これらは症状を和らげるためのケアであり、虫歯そのものを治すものではありません。しみる症状が繰り返される場合は、原因を確認するために歯科医院を受診しましょう。
◇歯科医院での治療
歯科では、しみる歯の状態を確認し、虫歯・知覚過敏・歯周病・歯の摩耗など原因を見極めます。
知覚過敏が原因なら、フッ化物や知覚過敏を抑える薬剤を塗布したり、露出した象牙質をレジンなどで覆ったりする治療を行います。歯肉の状態に問題がある場合は歯周病への対応も必要です。虫歯が原因であれば、進行度に応じて適切な虫歯治療を行います。

【虫歯の治療方法】
◇初期虫歯の治療法
初期虫歯は、歯の表面に穴ができているか、虫歯が活動性を持っているかなどを確認します。
まだ穴があいていない状態なら、フッ化物を活用した予防処置や歯磨き指導、食生活の改善、定期的な経過観察を行い、虫歯の進行を抑える方法があります。
一方で、明らかな穴があいている場合は虫歯を除去してコンポジットレジンなどで修復する治療が選択されます。
◇進行した虫歯の治療法
虫歯が大きくなると詰め物や被せ物による治療が必要になります。歯髄まで進行している場合には根管治療によって感染した歯髄を除去し、歯の内部を清掃・消毒します。
歯の保存が難しいほど虫歯が進行していると抜歯を選択しなければなりません。虫歯は進行するほど治療の負担が大きくなるため、早期発見・早期治療が重要です。

【知覚過敏の治療法】
◇知覚過敏専用の歯磨き粉
知覚過敏向けの歯磨き粉には、刺激が神経に伝わりにくくなるよう作用する成分が含まれています。継続して使用することでしみる症状の軽減が期待できます。
使用するとすぐに症状がなくなるとは限らないため、毎日のケアとして継続することが大切です。歯磨き後は何度も強くうがいせず、歯磨き粉に含まれるフッ素をお口の中に残すよう意識すると良いでしょう。
◇歯科医院での専門的治療
症状が強い場合やセルフケアで改善しない場合は、歯科医院で専門的な処置を受けます。
フッ化物や知覚過敏抑制剤の塗布、露出した象牙質をレジンで覆うなどの処置が代表的です。また、歯ぎしりや食いしばり、歯肉の退縮、歯周病などが原因になっている時は、原因に合わせた治療を行います。
知覚過敏だと思っていた症状は実は虫歯だったというケースもあるため、長時間症状が続く時は自己判断で済ませないようにしましょう。

【予防策と日常ケア】
◇正しい歯磨きの方法
虫歯と知覚過敏の予防には、毎日の歯磨きが欠かせません。
歯ブラシは歯と歯肉の境目に当てて、強い力をかけずに細かく動かします。歯間部の汚れは歯ブラシだけでは取りきれないため、デンタルフロスや歯間ブラシを併用しましょう。
また、フッ素配合の歯磨き粉を使用して歯質を強化することも大切です。自分に合った歯ブラシや清掃方法がわからない時は、歯科医院で相談すると適切な方法を確認できます。
◇食生活の見直し
虫歯予防では、甘いものを食べる量だけではなく、食べる回数や時間も意識しましょう。間食や糖分を含む飲み物を頻繁に摂取するとお口の中が酸性に傾く時間が長くなり、虫歯のリスクが高まります。
知覚過敏がある時は、冷たい飲み物や酸味の強い食品を控えることも大切です。
バランスの良い食事と規則正しい食生活を心がけ、食後の歯磨きを習慣にしましょう。

【まとめ】
歯がしみる原因は、虫歯だけではありません。知覚過敏は、歯肉の退縮や歯の摩耗などによって象牙質が露出し、冷たいものや歯ブラシの刺激によって鋭い痛みが起こります。
一方、虫歯でも象牙質まで進行すると歯がしみるようになり、さらに歯髄へ炎症が広がると痛みが長く続いたり、何もしていない状態でもズキズキするようになります。
「しみるから知覚過敏だろう」と自己判断するのは避け、症状が繰り返し起こる、痛みが強くなる、痛みが長く続くといった変化があれば歯科医院を受診しましょう。早期に原因を確認することで必要以上に治療範囲が広がるのを防ぐことに繋がります。

【最後に】
歯がしみる症状には、虫歯や知覚過敏だけでなく、歯周病や歯の摩耗、歯肉の退縮など様々な原因が考えられます。症状だけで判断せず、歯科医師による診察を受けて原因を明らかにすることが大切です。
当院では、虫歯や歯周病の治療をはじめ、親知らずの抜歯やインプラントなど、患者様のお口の状態に合わせた診療を行っています。「冷たいものがしみるけど虫歯かな?」「知覚過敏がなかなか改善しない」といったお悩みも、状態を確認した上で適切な治療をご提案します。
歯の痛みやしみる症状をそのままにせず、気になる症状があればお気軽にご相談ください。
