夜になると歯が痛いのはなぜ?原因・応急処置・歯科を受診する目安を歯科医師が解説!
26.08.22
カテゴリ:
【はじめに】
「昼間は気にならなかったのに、夜になると急に歯が痛くなる」「歯の痛みで眠れない」という経験をしたことはありませんか?夜間の歯の痛みは、歯周病や虫歯、親知らずの炎症など、お口のトラブルが進行しているサインかもしれません。また、顎関節症や歯ぎしりが関係している場合もあります。一時的に痛みが落ち着いたとしても、原因が改善したわけではありません。放置すると症状が悪化し、治療期間が長くなったり、場合によっては抜歯が必要になったりすることもあります。今回は、夜になると歯が痛くなる理由や考えられる原因、応急処置の方法、受診の目安について詳しく解説します。

【夜に歯が痛む理由とは】
◇血流の変化が引き起こす痛み
夜になると歯の痛みが強くなる理由の一つに、「血流」があります。
日中は立ったり座ったりして過ごしていますが、就寝時には横になるため、頭部へ流れる血液量が増えます。すると、炎症を起こしている部分の血管が拡張し、神経が圧迫されて痛みを感じやすくなります。特に虫歯が神経まで進行している場合や、親知らずの周囲で炎症が起こっていると、夜にズキズキとした痛みが現れやすい傾向があります。また、飲酒や長時間の入浴によって体が温まると血流がさらに増加し、症状が強くなることもあります。
◇自律神経の影響と痛みの関係
夜間の歯痛には、自律神経の働きも関係しています。
日中は交感神経が優位になり、活動的な状態が続きます。一方、夜になると副交感神経が優位になり、体は休息モードに切り替わります。副交感神経が優位になると血管が拡張しやすくなるため、炎症部位への血流が増えて、痛みを感じやすくなります。さらに、夜は周囲が静かになることで意識が向きやすくなります。仕事や家事などに集中している昼間よりも、痛みそのものを強く感じる方は少なくありません。ストレスや疲労が蓄積していると、免疫力の低下によって炎症が悪化し、夜間の痛みが増すこともあります。

【夜間の歯痛の主な原因】
◇虫歯による歯髄炎
夜間の強い歯の痛みで最も多い原因の一つが虫歯による歯髄炎です。
虫歯が進行して神経まで細菌が到達すると、歯の内部で炎症が起こります。初期には冷たいものがしみる程度でも、さらに進行すると何もしていなくてもズキズキとした痛みが続くようになります。特に夜間は血流の影響によって痛みが増し、眠れないほどの症状が現れるケースもあります。痛みが突然なくなったとしても安心はできません。神経が壊死して一時的に痛みを感じなくなっている可能性もあり、そのまま放置すると歯の根の先に膿が溜まる原因になります。
◇歯周病の進行と痛み
歯周病は初期には自覚症状が少ない病気ですが、進行すると歯肉の腫れや痛みを引き起こします。
歯肉に炎症が起こると、噛んだ時の痛みや違和感が現れ、重症化すると膿が出たり、歯が浮いたような感覚を覚えたりすることもあります。また、歯周病によって歯を支えている骨が減少すると歯がぐらつき始め、食事の際に強い痛みを感じるケースもあります。
糖尿病や喫煙習慣などは歯周病を悪化させる要因として知られているため、生活習慣の見直しも重要です。
◇顎関節症や歯ぎしりの影響
歯が痛いと思っていても、実際には歯そのものが原因ではないケースがあります。
例えば、歯ぎしりや食いしばりによって歯へ過剰な負担がかかると、歯の周囲組織に炎症が起こり、歯が痛むことがあります。また、顎関節症では顎の筋肉が緊張し、奥歯の痛みとして感じられることがあります。朝起きた時に顎が疲れている、歯がしみる、肩こりや頭痛があるという方は、歯ぎしりや顎関節症が関係している可能性も考えられます。

【痛みの種類別対処法】
歯の痛みといっても、感じ方には個人差があります。「ズキズキする」「重い感じがする」「冷たいものだけしみる」など、痛みの種類によって考えられる原因や対処法が異なります。
◇ズキズキする痛みへの対処
脈を打つようにズキズキと痛む場合は、虫歯が神経まで進行している歯髄炎や親知らずの周囲に炎症が起こる智歯周囲炎などが考えられます。
このような痛みがある時は、まず患部を刺激しないことが大切です。熱い飲み物やアルコールは血流を増やし、痛みを強くすることがあるため控えましょう。また、頬の上から冷たいタオルや保冷剤を当てることで一時的に症状が和らぐ場合があります。ただし、氷や保冷剤を直接当てると刺激が強すぎるため注意が必要です。
鎮痛剤を使用する方法もありますが、痛みが落ち着いても原因が改善したわけではありません。特に夜も眠れないほどの強い痛みが続く場合は、早めの歯科医院受診が必須です。
◇鈍痛の緩和方法
重たい感じの鈍痛や噛んだ時に違和感がある場合には、歯周病や歯ぎしり、食いしばりが関係しているケースがあります。
このような症状がある時は、硬い食べ物を避けて歯への負担を軽減することが大切です。また、歯ぎしりの傾向がある方は、ストレスや疲労が症状を悪化させることがあるため、十分な休息を取ることも大切です。顎の筋肉が緊張している場合には、軽くマッサージを行ったり、就寝前にリラックスできる時間を作ったりすることも効果が期待できます。
◇知覚過敏による痛みの対処
冷たいものや甘いものを口にした時だけ痛みが出る場合は、知覚過敏の可能性があります。知覚過敏は、歯の表面のエナメル質が摩耗したり、歯肉が下がることで象牙質が露出して刺激が神経に伝わりやすくなることで生じます。
症状がある時は、知覚過敏用の歯磨き粉を使用したり、強いブラッシングを避けたりすることが大切です。ただし、知覚過敏だと思っていた症状が実際には虫歯だったというケースも少なくありません。症状が長く続く場合は、一度歯科医院で確認してもらいましょう。

【夜間の歯痛を和らげるための応急処置】
◇冷却法による痛みの軽減
歯や歯肉に炎症が起こっている場合には、頬の外側から冷やすことで痛みが和らぐことがあります。
保冷剤をタオルに包み、10分程度を目安に冷やすと良いでしょう。ただし、長期間冷やし続けると血流が悪くなり、回復を遅らせてしまう可能性があります。また、患部へ直接氷を当てることは避けて下さい。
入浴や運動の後に痛みが強くなる方は、体が温まることで血流が増加している可能性があります。痛みが強い時は、長風呂や激しい運動は控えた方が安心です。
◇市販薬の効果的な使用法
夜間で歯科医院を受診できない場合は、市販の鎮痛薬を使用する方法があります。ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの消炎鎮痛薬は、炎症による痛みの緩和が期待できます。ただし、決められた量以上を服用しても効果が高まるわけではありません。副作用のリスクがあるため、用法・用量を守って使用しましょう。
また、鎮痛薬によって一時的に痛みが落ち着いても、虫歯や炎症そのものは残っています。症状が改善したからといって受診を先延ばしにしないことが大切です。

【歯科受診が必要なサイン】
◇痛みの持続時間とその程度
冷たいものが少ししみる程度であれば、経過観察で良い場合もあります。しかし、何をしていてもズキズキと痛む、夜も眠れないほどの強い痛みがある、鎮痛薬が効かないといった場合には注意が必要です。このような症状は、神経の炎症や感染が進行しているサインかもしれません。
◇併発する症状の確認
歯の痛み以外にも次のような症状がある場合には、早めの受診をおすすめします。
・歯肉や頬が腫れている
・膿が出ている
・口が開きにくい
・飲み込みにくい
・顎まで痛みが広がっている
特に親知らずが原因の智歯周囲炎では、頬や顎が大きく腫れることがあります。炎症が広範囲へ及ぶと日常生活に支障をきたす場合もあります。
◇緊急性の判断基準
以下のような状態では、できるだけ早く歯科医院や救急外来へ相談することが大切です。
・顔が大きく腫れている
・高熱が出ている
・呼吸しにくい
・水分も飲みにくい
・強い痛みで眠れない状態が続いている
細菌による感染が広がっている可能性があり、早急な治療が必要になるケースもあります。

【まとめと今後の対策】
◇定期的な歯科検診の重要性
夜になると歯が痛む背景には、虫歯や歯周病、親知らずの炎症など、様々な原因が隠れています。これらの病気は初期の段階では自覚症状がなく、気づいた時には進行していることも珍しくありません。定期的な歯科検診を受けることで、虫歯や歯周病を早期に発見しやすくなり、負担の少ない治療につながります。また、親知らずの生え方やお口の状態を定期的に確認することで、将来的なトラブルの予防にもつながります。
◇日常的な口腔ケアのポイント
毎日のセルフケアも歯の痛みを予防する上で欠かせません。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使用して、お口の中の細菌を減らすことが大切です。
さらに、糖分を含む飲食物の摂りすぎを避け、規則正しい生活習慣を心がけることで、虫歯や歯周病のリスクを軽減できます。少しでも違和感がある場合には放置せず、早めに歯科へ相談することが、歯を長く健康に守るための第一歩になります。

【最後に】
当院では、虫歯や歯周病の治療をはじめ、親知らずの痛みや腫れ、智歯周囲炎による炎症や抜歯が必要な症例にも対応しております。また、失った歯を補うインプラント治療や予防歯科にも力を入れ、患者様一人ひとりのお口の状態に合わせた診療をご提案しています。
夜になると歯が痛い、親知らずが腫れている、歯の痛みで眠れないなどのお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
