医院からのお知らせ
information
放置は危険!虫歯による口臭の原因と解消法
25.12.02
カテゴリ:医院からのお知らせ
【虫歯の匂いとは?その特徴を理解しよう!】
虫歯が進行すると口臭が出てくることがあります。これは虫歯があるからにおっているというよりは、細菌の活動や歯の状態の悪化が原因と考えられます。以下に特徴をまとめます。

《虫歯による匂いの原因と特徴》
①細菌による分解臭
・虫歯はミュータンス菌などの虫歯菌が糖を分解して、酸を出し、歯を溶かす。
・進行すると歯に穴があき、その中で食べかすや細菌が分解されて腐敗臭を発生させる。
→生ゴミのような酸っぱいにおい、腐敗臭
②神経が侵される段階(C3)
・神経に炎症が起きると強い痛みとともに膿が出てくることもある。
→膿が口腔内に流れると生臭いにおい
③末期の虫歯(C4)で神経が壊死
・神経が死ぬと一時的に痛みは減るが、歯の内部で組織が腐敗する。
→強烈な腐敗臭を伴い、周囲に気づかれることも
放置すると治療も大がかりになります。早めの歯科受診をおすすめします。

【虫歯が口臭を起こすメカニズムとは?】
虫歯が口臭を引き起こすのは『虫歯そのもの』と『そこで繁殖する細菌』が関係しています。流れに沿って説明します。

①歯の表面が溶ける(エナメル質〜象牙質)
・虫歯菌が糖を分解して酸を出し、歯のエナメル質を溶かす。
・小さな穴ができて、そこに食べかすや歯垢(プラーク)がたまりやすくなる。
→これらが細菌によって分解され、酸っぱいにおいや発酵臭が発生する。
②歯の内部で細菌が増殖(象牙質〜神経)
・虫歯が象牙質や神経に近づくと、穴が深くなり空洞が細菌の温床になってしまう。
・食べかすやタンパク質が細菌によって腐敗する。
→卵が腐ったようなにおい、下水のようなにおいとして感じられる。
③神経の炎症や壊死(C3〜C4)
・神経まで感染が広がると膿がたまる。
・虫歯がここまで進行すると一時的に痛みは減るが、匂いは強くなる。
→膿や壊死組織が口腔内に出ると強烈な生臭さや腐敗臭が発生する。
虫歯は進行するほど匂いも強くなるため、口臭対策のためにも早期治療が必要不可欠です。
【虫歯による口臭への対応】
虫歯による口臭は根本的に『虫歯治療』が最も効果的です。ただ、治療までの間や予防の観点からもできる対応をまとめます。
①歯科医院での治療
・初期虫歯(CO~C1):フッ素塗布やブラッシング指導での再石灰化の促進
・中期虫歯(C2):虫歯の部分を削って詰め物(コンポジットレジンやインレー)を入れる。
・進行期虫歯(C3):神経まで達している状態のため、根管治療が必要となる。
・末期虫歯(C4):抜歯を行い、その後ブリッジや入れ歯、インプラントを入れる。

②セルフケア
・正しい歯磨き:最低1日2回。特に就寝前の歯磨きは丁寧に行う。
・歯間部のケア:デンタルフロスや歯間ブラシを使用する。
・舌の清掃:舌ブラシを使用して、口臭の原因となる舌苔(舌の汚れ)を除去する。
・洗口液の使用:フッ素入りや殺菌効果のあるもので洗口する。

③生活習慣の改善
・砂糖の摂取を控える:虫歯菌の餌を控えることになる。
・間食の摂り方に注意する:ダラダラ食べ、飲みをしない。口腔内pHが酸性の状態が長くなると虫歯菌が活発になる。
・口腔内が乾燥しないように:唾液の分泌量が多くない場合はこまめな水分補給を。
・禁煙をする:タバコは口臭を悪化させる。治療効果も下がってしまう。

④定期的な歯科受診
・最低でも3〜6ヶ月に1回は定期検診を:虫歯、歯周病の早期発見、早期治療につながる。
・歯科衛生士によるプロフェッショナルケアで、歯石やバイオフィルムを除去する。

【虫歯治療の流れと方法】
①初期虫歯(CO〜C1:エナメル質虫歯)
・自覚症状がほとんどない。
・治療方法:フッ素塗布(再石灰化の促進)、ブラッシング指導など
・流れ:診察→歯のクリーニング→フッ素塗布→定期的なチェック
削らずに経過観察できることが多い。
②中期虫歯(C2:象牙質まで進行)
・冷たいもの、甘いものでしみる。穴があいている。
・治療方法:虫歯の部分を削り、コンポジットレジンやインレーを入れる
・流れ:診察、レントゲン→必要なら麻酔→虫歯を削る→詰め物→噛み合わせの調整
③進行期虫歯(C3:神経まで到達)
・ズキズキと強い痛み。
・治療方法:根管治療後(神経を取り除き、歯根の内部を消毒、薬を詰める)、被せ物を入れる。
・流れ:診察、レントゲン→麻酔→神経を除去→根管内清掃、消毒→薬剤充填→被せ物
治療回数が複数回かかる。
④末期虫歯(C4:歯根だけ残る)
・神経が壊死して、一時的に痛みが軽減するが、膿が溜まったり、腫れたりする。
・治療方法:抜歯して、ブリッジや入れ歯、インプラントを入れる。
・流れ:診察、レントゲン→麻酔→抜歯→治癒を待つ→ブリッジや入れ歯、インプラント
早く治療すれば、治療期間も費用も抑えることができます。
【虫歯による口臭を防ぐためにできること】
虫歯による口臭は、虫歯菌の活動や腐敗した歯の部分から発生する匂いが原因になります。根本的には虫歯治療が必要になりますが、日常の工夫で『予防』と『軽減』が可能です。
①早期の歯科受診と治療
・初期であればフッ素塗布、中期以降は虫歯を削って、詰め物や被せ物を入れる治療が必要になります。
②毎日のセルフケア
・正しい歯磨き:最低1日2回は行いましょう。特に就寝前の歯磨きは丁寧に。フッ素配合の歯磨き粉を使用しましょう。
・歯間部のケア:デンタルフロスや歯間ブラシを使用しましょう。
・舌の清掃:舌ブラシを使用して舌苔(口臭の原因の一つ)を落としましょう。
・洗口液:殺菌作用のあるもの、フッ素配合のものを選択しましょう。
③食習慣の工夫
・砂糖の摂取を控える:虫歯菌の栄養源を減らす。
・間食を控える:口腔内が酸性になる時間を減らす。
・水分補給:唾液の分泌を良くして、口臭を防ぐ。
・よく噛んで食べる:唾液の分泌量が増えて、自浄作用が高まる。
④生活習慣の改善
・禁煙:タバコは匂いを強くし、虫歯や歯周病のリスクを高める。
・規則正しい生活:睡眠不足やストレスは唾液量を減らし、口臭悪化につながる。
⑤定期検診とプロフェッショナルケア
・最低でも3〜6ヶ月に1回の歯科受診で虫歯の早期発見。
・歯科衛生士によるクリーニングやフッ素塗布で予防効果アップ!
【虫歯以外の口臭の原因】
虫歯以外の口臭の原因はたくさんあります。大きく分けると口腔内が原因の場合と、全身的な原因の2つに分けられます。
①口腔内の原因:口臭の原因の約8割
・歯周病:歯周病菌が歯周ポケットで炎症や膿をつくり、強い硫黄臭を発生させる。
・舌苔:舌の表面に細菌、剥がれた粘膜が溜まって、白くなる。これが分解されて匂いを発生させる。
・ドライマウス:唾液の量が減ると、細菌が発生しやすくなり、口臭の原因に。
・食べかすや歯石:清掃不足で汚れがたまると、発酵や腐敗が進み、口臭が悪化する。
・不適合な詰め物や被せ物:隙間に汚れがたまり、細菌が増えることで匂いが発生する。

②全身的な原因
・呼吸器系の疾患:膿や痰による匂い
・消化器系のトラブル:胃からの逆流や消化不良による匂い
・糖尿病:甘酸っぱいアセトン臭が口からすることがある
・肝疾患、腎疾患:尿のような匂(アンモニア臭)

③食べ物や嗜好品によるもの
・ニンニク、ネギ、玉ねぎなど匂いの強い食べ物
・コーヒーやアルコール
・喫煙

虫歯以外での口臭の原因はたくさんあります。
多くは口腔内のトラブルですが、なかなか改善しない場合は内科や耳鼻科の受診が必要になることもあります。
【虫歯に関するよくある質問】
Q.虫歯の口臭はどのように確認するの?
A.まずは原因をしっかり理解することが大切です。次にセルフチェックとして鏡で歯の状態を確認してみましょう。口臭が気になる場合は早めの歯科受診をおすすめします。専門家による確認で虫歯の有無やその他の口臭の原因が見つかるかもしれません。

Q.虫歯の治療後に口臭が残る理由は?
A.治療後のケアが不十分な可能性があります。微小な段差や隙間に食べかすや汚れがたまり、匂いの原因になっているかもしれません。デンタルフロスや歯間ブラシも使用してセルフケアの徹底と定期的な受診でプロフェッショナルケアも受けましょう。

【まとめ】
虫歯の放置は“口臭悪化”の始まり。早めのケアで清潔な口元を虫歯による口臭は、細菌の繁殖や歯の内部で起こる腐敗が原因で発生します。進行すればするほど臭いも強くなり、治療が複雑になってしまいます。一方で、初期の段階であれば簡単な治療やセルフケアで改善が可能です。日常的な歯磨き・歯間ケア・舌の清掃・食生活の見直しに加え、3〜6ヶ月に一度の定期検診を行うことで、虫歯や口臭の予防がぐっとしやすくなります。「少し気になるな」と感じた時こそ、歯科医院への相談と受診タイミングです。早期診療・早期治療で、清潔で快適な口腔環境を保ちましょう。