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親知らずの抜歯は本当に痛い?知識と対策を解説!
25.11.09
カテゴリ:医院からのお知らせ
【親知らずの抜歯は本当に痛いのか…】
◇親知らずの痛みの原因は?
親知らずの痛みの原因にはいくつかの要因が関係しています。以下に代表的な原因を詳しく説明します。
①智歯周囲炎:親知らずの周囲の歯肉に細菌が感染して炎症を起こす状態
親知らずが半分だけ生えていると、歯と歯肉の隙間に汚れが溜まりやすく、細菌が繁殖して腫れや痛みが生じます。
②虫歯(う蝕)
親知らずは一番奥にあるため、歯ブラシが届きにくく、汚れが溜まりやすい場所です。そのため、虫歯が進行していても気付きにくく、痛みを感じる頃には神経まで達していることもあります。また、親知らずの虫歯は隣の歯(第二大臼歯)にも影響を与えることがあります。
③噛み合わせのトラブル
親知らずが斜めや横向きに生えている場合は隣の歯を押したり、歯列全体のバランスを崩すことがあります。これにより噛むたびに力が偏って顎や歯に痛みが出ることがあります。
④歯肉や骨の圧迫
埋まったままの親知らず(埋伏智歯)が、骨や神経を圧迫して痛みを引き起こすケースがあります。
⑤感染や膿がたまる
親知らず周囲に膿が溜まるとズキズキとした強い痛みや腫れ、発熱を伴います。これは細菌感染による炎症が悪化している状態で、抗生剤や外科的な排膿処置が必要です。

◇抜歯中の痛みとその対策
親知らずの抜歯中の痛みについて理解しておくと、不安を減らし安心して治療を受けられます。
①抜歯中の痛みの原因
親知らずの抜歯は通常、局所麻酔下で行われますが、痛みを感じる場合があります。主な原因は以下の通りです。
・麻酔が十分に効いていない場合
→麻酔の効きが悪いと歯や歯肉の奥の神経に刺激が伝わり、チクッという痛みを感じることがある。
・埋伏歯や斜めに生えている歯
→骨の中に埋まっている歯や曲がった歯は切開や骨削りが必要になるため、処置中に圧迫感や鈍い痛みを感じることがある。
・抜歯中の骨や歯の圧迫
→歯を抜く際に骨や周囲組織を押す力がかかることで、麻酔が効いていても圧迫感や違和感を感じることがある。
②痛みを抑える対策
抜歯中の痛みを抑えるために、歯科医師は以下の方法を行います。
・局所麻酔:基本となる麻酔で痛みをブロック。痛みを感じる場合は追加で麻酔することも可能。
・笑気麻酔:不安や恐怖が強い患者さん向け。リラックスした状態で処置を受けられる。
・静脈内鎮静法:抜歯が複雑な場合や痛み、不安が強い場合に。痛みや緊張をほぼ感じない。
③抜歯中に患者ができること
・麻酔が効いているかを確認して、痛みを感じる場合は遠慮なく伝える。
・体に力を入れず、リラックスする。
・恐怖心や不安が強い場合は、事前に歯科医師に相談する。
【親知らず抜歯の手順と痛みの管理】
◇カウンセリングと麻酔の重要性
①カウンセリングの重要性

親知らずの抜歯は歯の生え方、顎の骨の形、神経との位置関係などによって難易度が大きく異なります。そのため、抜歯前には歯科医師との丁寧なカウンセリングが欠かせません。
・親知らずの生え方や位置(レントゲンやCTで確認)
・痛みや腫れのリスク
・抜歯にかかる時間や管理の目安
・抜歯後の生活上の注意点
この事前説明によって、患者さんの不安を軽減し、治療の流れを理解した上で安心して抜歯に臨めます。また、糖尿病や高血圧などの持病や服薬状況も共有しておくことで、安全な処置につながります。
②麻酔の重要性

抜歯時の痛みを最小限にするために、麻酔は非常に重要な役割を果たしています。
・局所麻酔
最も一般的な方法で、歯や歯肉の周囲をしっかり麻酔します。痛みを感じることはほとんどなく、術中は『押される感覚』程度で済みます・
・笑気麻酔
ガスを吸入して、緊張や恐怖心を和らげる麻酔法です。意識はありますが、リラックスして治療が受けられます。
・静脈内鎮静法
点滴によって薬を投与して、うとうとした状態で抜歯を行う方法です。痛みや時間の感覚がほとんどなく、難症例や不安が強い方に適しています。
③安心して抜歯を受けるために
カウンセリングと麻酔は親知らずの抜歯を『安心、安全、痛みの少ない治療』に導くための大切なステップです。不安や疑問がある時は、遠慮せずに歯科医師に相談し、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
◇抜歯の具体的な流れ
①カウンセリング、診断
まずは歯科医院で口腔内を確認し、レントゲンやCT撮影を行なって親知らずの位置や神経との距離を把握します。歯の生え方や炎症の有無を確認したうえで、抜歯の必要性やリスク、治療計画について丁寧に説明されます。
②麻酔処置
抜歯の前には、局所麻酔を行い痛みを感じないようにします。不安が強い方には笑気麻酔や静脈内鎮静法が併用されることがあります。麻酔がしっかり効いたことを確認してから処置を始めるため、痛みはほとんどありません。
③抜歯(手術)
麻酔が効いた後、歯肉を小さく切開して歯や骨の一部を慎重に削りながら抜歯を行います。歯が完全に埋まっているケース(埋伏智歯)では、歯を分割して取り出す場合があります。手術時間は通常20〜60分程度が目安です。
④止血、縫合
抜歯後はガーゼを噛んで止血します。必要に応じて傷口を縫合して、1週間前後で抜糸を行います。
⑤術後の説明とケア
抜歯後は痛み止めや抗生物質の処方が行われます。腫れや痛みは数日で落ち着くことが多く、冷やすことで症状を和らげられます。また、ドライソケットを防ぐための注意事項も説明されます。
⑥経過観察、再診
抜歯後は、傷口の治り具合を確認するために再診を行います。異常がなければ抜糸して治療は完了です。炎症や感染が見られる場合は、追加の処置や投薬を行い、完治を目指します。

【抜歯後の痛みとその期間】
◇痛みのピークとその後の経過
親知らずの抜歯後は、誰でも多少の痛みや腫れが生じます。しかし、痛みの強さや続く期間は個人差があり、正しい経過を知っておくことが安心につながります。
①抜歯直後
麻酔が効いているため、痛みをほとんど感じません。ただし、麻酔が切れ始めると少しずつズキズキとした違和感が出てきます。このタイミングで処方された痛み止めを早めに服用することが大切です。
②抜歯翌日〜2日目:痛みのピーク
痛みや腫れのピークは抜歯の翌日〜2日目に現れることが多いです。これは傷口の炎症反応によるもので、体が治そうとする自然な反応です。冷やしすぎないよう注意しながら、患部を軽く冷やすと痛みや腫れを和らげられます。
③3〜4日目:徐々に回復
3日目以降になると、痛みや腫れが少しずつ落ち着いてくる時期です。まだ口が開きにくかったり、食事がしづらいことがありますが、無理せず柔らかいものを中心に摂りましょう。
④5〜7日目:痛みの軽減
1週間ほど経つと、ほとんどの方が痛みを感じる段階です。この頃に抜糸を行うことが多く、口の中の違和感も徐々に減っていきます。強い痛みや膿が出る場合は、ドライソケットや感染の可能性があるため、歯科医院に早めに相談を。
⑤1〜2週間後:ほぼ完治へ
痛みや腫れが完全に引き、通常の食事や生活に戻れる時期です。まれに骨や歯肉の治りが遅い場合もあるため、指示通りに再診を受けるようにしましょう。
◇痛みを和らげるための対策
①痛み止め(鎮痛薬)の正しい使用
歯科医師から処方された鎮痛剤は、痛みが出る前に早めに服用することが大切です。麻酔が切れる前に飲むことで、痛みのピークを抑える効果が期待できます。市販薬を使用する場合も成分が重複しないように注意しましょう。
②冷却で炎症を抑える
抜糸当日は頬の外側から軽く冷やすと炎症や腫れを抑えることができます。長時間の冷却は逆効果になることもあるため、短時間を数回に分けて行うことがポイント。
③安静を保つ(体を休ませる)
抜歯後は体が傷を修復するためにエネルギーを使います。そのため、激しい運動や長風呂、飲酒などは避けましょう。血流が過度に上がると、出血や痛みが再発する原因になります。
④食事は刺激が少ないものにしましょう
硬い食べ物や熱い飲み物は、傷口を刺激して痛みを強めます。抜歯後2〜3日は柔らかくて冷たいものを中心にしましょう。おかゆ、スープ、豆腐、ヨーグルト、プリンなど
⑤口腔内を清潔に保つ
食べかすが傷口に残ると細菌感染や炎症の原因になります。ただし、強いうがいやブラッシングは避けて、歯科医師の指示のもと優しく口をゆすぐ、抜いた反対側で噛むようにする、など患部を刺激しないように注意しましょう。
【ドライソケットとは】
ドライソケットとは、親知らずを抜歯した後の傷口にできる『血のかさぶた(血餅)』が取れてしまうことで、骨が剥き出しになる状態のことです。強い痛みを伴うことが特徴です。

◇発生の原因
①抜歯後すぐに強いうがいをした
②喫煙や飲酒をした(血流や治癒に影響)
③ストローを使って吸うことで陰圧がかかった
④抜歯部を歯ブラシや舌で触った
◇主な症状
通常の抜歯後よりも2〜3日後に強い痛みが現れるのが特徴です。
・抜歯後2〜3日して急に痛みが強くなる
・ズキズキとした痛みが顎や耳、こめかみにまで広がる
・傷口をのぞくと白っぽく骨が見える
・口臭が強くなる、不快な味がする
この痛みは痛み止めが効きにくく、放置すると治りが遅くなるため注意が必要です。
◇治療法
ドライソケットが起こった場合は、歯科医院での適切な処置が必要となります。
・傷口の洗浄、消毒
・鎮痛剤や抗生剤の処方
・鎮痛作用のある薬剤を詰める処置
・必要に応じて再度血餅を促す処置
通常。数日〜1週間で痛みは軽減し、徐々に治癒していきます。
◇予防法
・抜歯当日は強いうがいや口ゆすぎをしない
・ストローで飲まない
・喫煙や飲酒は控える
・処方された薬をしっかり飲む
【親知らずに関するよくある質問】
Q.抜歯を避けるべき人は?
A.①重度の全身疾患(心臓病、糖尿病、高血圧など)を患っている場合は抜歯によって症状が悪化してしまうことがあります。事前に主治医との連携が必要です。
②妊娠中、授乳中の女性は薬の使用や体位保持に制限があります。特に妊娠初期と後期は、抜歯などの外科処置は避けた方が安心です。授乳中も使用する薬剤によって母乳への影響があるため歯科医師に必ず申告しましょう。
③抜歯部位に強い炎症や感染がある状態での抜歯は麻酔が効きにくかったり、痛みや炎症が悪化することがあるため、一度抗生剤などで炎症を落ち着かせた上で、後日日を改めて抜歯を行うことが安全です。
④放射線治療や骨粗鬆症治療を受けている場合、抜歯によって顎骨壊死を起こすことがあります。これらの治療を受けている場合、歯科医師と医科が連携して慎重に判断します。事前に薬剤名や治療経過を必ず伝えましょう。
