医院からのお知らせ
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虫歯菌の正体を知って、健康な歯を守ろう!
25.11.30
カテゴリ:医院からのお知らせ
【虫歯菌の基礎知識】
・虫歯とは何か
虫歯とは口腔内に存在する虫歯菌(主にミュータンス菌など)が食べ物の中に含まれる糖分を分解して酸を作り、その酸が歯の表面(エナメル質)を溶かしてしまう病気です。
この現象を『脱灰』といい、歯の表面が少しずつ溶けることで、やがて穴があいたり、茶色に変色していきます。
初期の虫歯は痛みがなく、気づきにくいことが特徴ですが、進行すると冷たいものや甘いものがしみるようになり、さらに進むとズキズキとした強い痛みを感じます。放置すると歯の神経が感染して根管治療(神経の治療)や抜歯が必要となることもあります。
虫歯は自然に治ることはありませんが、初期の段階であればフッ素や正しいケアで『再石灰化(歯の修復)』が期待できます。そのため、早期発見と定期的な歯科検診が大切です。
・虫歯菌の役割と影響
虫歯菌(主にミュータンス菌)は虫歯の発生と進行に大きく関わる細菌です。私たちの口腔内にはとてもたくさんの細菌が存在しますが、その中でも虫歯菌は糖分を分解して酸を作り出す性質を持っています。この酸が歯の表面(エナメル質)を溶かすことで虫歯が始まります。
◇虫歯菌の主な役割と働き
①糖をエサに酸を作る
虫歯菌は、食べ物や飲み物に含まれる砂糖を栄養源として酸を作り出します。この酸が歯を溶かし、『脱灰』という現象を起こします。
②歯の表面に強く付着する
虫歯菌は歯の表面にネバネバとした物質を作って定着します。そうすることで酸が長時間歯の表面にとどまり、歯をじわじわと溶かします。
③口腔内環境を悪化させる
虫歯菌が増えると口腔内が酸性に傾き、他の善玉菌が減少します。これにより虫歯菌だけでなく、口臭や歯周病の原因にもつながります。
◇虫歯菌が与える影響
①歯の脱灰による構造の破壊:エナメル質が溶けて、象牙質、歯髄(歯の神経)へと進行する。
②痛みや知覚過敏の発生:虫歯が進行すると冷たいものや甘いものがしみるようになる。
③口臭の原因となる:虫歯菌や感染した歯の内部で腐敗臭が発生する。
④全身への悪影響:重度の虫歯が放置されると、菌が血液を通して全身に炎症を広げることがある。

【主な虫歯菌の種類】
虫歯の原因となる細菌はいくつかありますが、特に重要なのが『ミュータンス菌』『ラクトバチルス菌』です。これらはお互いに作用し合い、虫歯の発生と進行に関わっています。
①ミュータンス菌(Streptococcus mutans):虫歯の主な原因菌で虫歯のきっかけとなる菌
・食べ物に含まれる糖分をエサにして酸を作り出す。
・歯の表面に強い粘着力のある物質を作る。
・プラーク(歯垢)内で酸を作り続けるため、歯のエナメル質が溶けて虫歯が進行していく。
②ラクトバチルス菌(Lactobacillus):虫歯の『進行を促す』役割を持つ菌
・一度できた虫歯の深部(象牙質や歯髄)で活動する。
・酸に強く、酸性環境でも生き残る。
・虫歯の進行段階(C2〜C4)で多く検出される。
③その他の虫歯菌
・ソブリヌス菌:虫歯の『悪化』を助長させる菌
・アクチノマイセス菌:高齢者や歯周病の方で注意が必要な菌
など、その他にもたくさんの細菌が虫歯には関係しています。

【虫歯菌が引き起こす健康問題】
①虫歯と全身疾患の関係
虫歯菌は歯の表面を溶かすだけではなく、口の中から全身に悪影響を及ぼすこともわかっています。虫歯菌を放置すると菌が血液や周囲の組織に侵入し、全身の健康に関わるトラブルを引き起こすことがあるのです。
・心臓への影響
虫歯菌が血液中に入り込み、心臓に感染して心疾患につながることがあります。特に心臓に持病がある方や人工弁を入れている方はリスクが高いとされています。この病気は命に関わるため、歯の感染を軽視してはいけません。
・妊娠中のリスク
妊婦さんが重度歯周病や虫歯を放置すると菌や炎症物質が血液によって全身に影響を与え、早産や低体重児出産のリスクが高まると言われています。また、虫歯菌は母親から赤ちゃんに移ることが多く、妊娠中からの口腔ケアがとても重要になります。
・生活習慣病との関係
虫歯菌や歯周病菌が慢性的に炎症を起こすと体内の炎症反応が強まり、糖尿病の悪化や動脈硬化の進行、認知症リスクの上昇などさまざまな全身疾患の発症や悪化につながります。

【虫歯の感染経路】
虫歯は『うつる病気』ということを知っていますか?実は虫歯の原因となるミュータンス菌などの虫歯菌は口の中で感染によって広がる細菌です。虫歯の感染経路とその予防のポイントをわかりやすく説明します。
①虫歯菌はどうやってにうつるのか
虫歯菌は唾液を介して人から人へ感染します。つまり、空気感染や飛沫感染ではなく、接触感染が主な経路です。赤ちゃんは生まれた時、口の中に虫歯菌を持っていません。虫歯菌は周囲の大人、特に母親、父親、祖父母などとのスキンシップを通じて感染することが多いです。
②主な感染経路
虫歯菌がうつる典型的なケースは以下のようなものがあります。
・口移しでの食事
大人が噛み与えた食べ物や使用したスプーンなどを使用することで唾液中の虫歯菌が口の中に感染します。
・同じ箸、スプーン、コップの共有
家族間で食器を共有することも感染の原因となります。
・キスなどのスキンシップ
唇へのスキンシップなどによっても唾液を介して虫歯菌が感染することがあります。
・歯ブラシの共有
歯ブラシには多くの細菌が付着しており、家族で共用すると感染リスクが高まります。
③いつ感染しやすいのか
・虫歯菌が定着しやすいのは『生後〜3歳ごろ』と言われています。この時期に大人から虫歯菌がうつると、子どもの口の中で細菌が繁殖しやすくなり、将来虫歯になりやすくなります。そのため、保護者がこの時期に自身の口腔内を清潔に保つことがとても重要です。
④大人同士の感染リスク
・虫歯菌は子どもだけでなく大人同士でもうつる可能性があります。例えば夫婦や恋人同士のキスや飲み物、食器の共有などでも感染することがあります。
免疫力が低下している時や口腔内環境が悪いと菌が定着しやすくなるため注意が必要です。
⑤感染を防ぐための対策
虫歯菌の感染を完全に防ぐことは難しいですが、次のような対策でリスクを大きく減らせます。
・家族全員が定期的に歯科検診を受けて、虫歯の予防や治療をしておく。
・食器や歯ブラシは共有しない。
・キスや口移しを避ける。(特に乳幼児期)
・毎日の歯磨き、フッ素ケアを徹底する。
・キシリトールガムを利用して、虫歯菌の活動を抑える。

【虫歯菌を減らすための対策】
虫歯菌を減らすためには、口腔内環境を清潔に保ち、虫歯菌が繁殖しにくい環境を作ることが大切です。以下に日常的にできる具体的な対策をわかりやすくまとめます。
①正しいブラッシング習慣を身につける
虫歯菌のエサとなるプラークを取り除くことが最も重要です。
・1日2〜3回丁寧に磨く。(特に寝る前の歯磨きは丁寧に!)
・歯と歯の間、歯肉の境目を意識して磨く。
・歯間ブラシやデンタルフロスを併用して磨き残しを防ぐ。
※歯垢は数時間で形成されるため、毎日のケアが欠かせません。

②フッ素を積極的に取り入れる
フッ素は虫歯菌が出す酸に対して歯を強くし、再石灰化を助けます。
・フッ素配合歯磨き粉を使用する。
・フッ素洗口液を就寝前に使用する。
・歯科医院で高濃度フッ素塗布を定期的に行う。
※フッ素は歯の表面にバリアを作り、虫歯菌の酸によるダメージを防ぎます。

③食生活を見直す
虫歯菌は『糖』をエサとして活動します・
・甘いお菓子やジュースを控える。
・『ダラダラ食べ』せず、食事と間食の時間をわける。
・キシリトールを噛むことで唾液の分泌量も増え、虫歯菌の働きを抑制する。
※キシリトールは虫歯菌の『騙しエサ』として働き、菌の増殖を抑えます。

④唾液の力を活かす
唾液には口腔内pHの中和、自浄作用など虫歯予防には重要な力があります。
・よく噛んで食べることで唾液を増やす。
・水分をこまめに摂ることで、口腔内乾燥を防ぐ。
・ストレスや口呼吸を減らす。(ドライマウスの防止)
※唾液の量が多いことは虫歯予防にとても重要なポイントの一つです。

⑤定期的な歯科検診とプロケアを受ける
セルフケアだけでは取りきれない汚れは歯科医院で除去する必要があります。
・3〜6ヶ月に1回は受診する。
・歯科衛生士によるクリーニングでバイオフィルムや歯石を除去する。
・虫歯の早期発見、早期治療にもつながる。
※歯科医院では口腔内細菌のバランスをチェックし、最適なケアを提案してもらえます。

⑥家族全員で感染予防を意識する
虫歯菌は唾液を通じて家族間でうつることがあります。
・食器や歯ブラシを共有しない。
・子どもへの口移しやキスなどのスキンシップは控える。
・家族全員でお口のケアを徹底する。
※家族内での感染を防ぐことが、長期的な虫歯予防につながります。

【虫歯菌に関するよくある質問】
Q.虫歯菌は完全に除去できるの?
A.虫歯菌は口腔内常在菌の一部であり、完全に除去することはできません。特にミュータンス菌は歯の表面に強く付着し、バイオフィルムやプラークを作る性質があるため、除去しにくいのです。しかし、効果的なケアを継続することで虫歯菌の数と活動量を大幅に減らすことは可能です。
Q.虫歯になりやすい人の特徴は?
A.虫歯になりやすいかどうかはさまざまな要因が関係しています。口腔内の細菌量が多い、唾液の量や質が良くない、甘いものや間食をよく摂る、歯磨きが不十分、不規則な生活習慣、歯並びや詰め物の状態が悪い、定期検診を受けていないなどが当てはまる人は虫歯になりやすいでしょう。
【まとめ】
虫歯は口腔内に存在するミュータンス菌などの虫歯菌が糖分を分解して酸を作り、その酸が歯の表面を溶かす『脱灰』によって起こる病気です。初期段階では痛みがないため気づきにくいものの、進行すると冷たいものがしみたり、強い痛みを生じ、放置すれば神経の完成や抜歯が必要になることもあります。初期虫歯はフッ素や適切なケアで再石灰化が期待できるため、早期発見が重要です。虫歯菌は糖分をエサにして酸を作り、歯の表面に強く付着してプラークを形成します。これにより口腔内が酸性になり、虫歯だけでなく口臭や歯周病の原因にもなります。代表的な虫歯菌は虫歯のきっかけを作るミュータンス菌と虫歯を深く進行させるラクトバチルス菌です。虫歯菌は歯の破壊や痛みを引き起こすだけでなく、血液を通して全身に影響を与えることもあります。また、虫歯菌は唾液を介して感染します。スプーンの共有、口移し、キスなどのスキンシップが主な感染経路で、主に生後〜3歳は感染しやすい時期です。大人同士でも感染する可能性はあります。予防のためには、正しい歯磨き(セルフケア)やフッ素ケア、糖分の摂取を控える、唾液を増やす習慣、定期的な歯科での検診が大切です。虫歯菌は完全に除去することはできませんが、適切なケアで大幅に減らすことができます。日々の習慣と家族でのケアを意識することで、虫歯菌の影響を最小限に抑えて、大切な歯を守りましょう。