下の親知らずは抜くべき?痛み・リスク・放置の危険性を歯科医が解説!
26.03.31
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【親知らずの下の歯とは…】
①親知らずの定義と役割
親知らずとは、永久歯の中で最も奥に生える歯のことで、正式には「第三大臼歯」と呼ばれます。
上下の顎の左右にそれぞれ1本ずつ、合計で最大4本生える可能性がありますが、すべての人に必ず生えるわけではありません。
多くの場合、10代後半から20代前半にかけて生え始めますが、顎の大きさや歯の並びの状態によっては、正常に生えないケースも多いのが特徴です。
特に下の親知らずは、横向きや斜めに生えることが多く、歯ぐきの中に埋まったままの状態になるケースもあります。
本来、親知らずは奥歯の一部として、食べ物を噛み砕く役割を持つ歯です。昔は顎が大きく、歯の本数も必要とされていたため、機能的な意味がありました。
しかし現代では、食生活の変化により顎が小さくなり、親知らずが正常に並ぶスペースが不足している人が増えています。
そのため、親知らずがうまく機能せず、歯ぐきに炎症を起こしたり、細菌が繁殖して腫れや痛みといった症状を引き起こす原因になることも少なくありません。
また、磨きにくい位置にあるため、歯周病や智歯周囲炎といったトラブルにつながりやすい歯でもあります。このような状態になると、歯科での診療や治療が必要となり、多くの場合は抜歯が検討されます。
②下の親知らずの特徴
下の親知らずは、上の歯に比べてトラブルが起こりやすい歯として知られています。その大きな原因は、顎のスペース不足と生え方の問題にあります。
・横向き、斜めに生えやすい
下の親知らずは、顎の骨の中で十分なスペースが確保できないことが多く、まっすぐではなく横向きや斜めの状態で生えやすい特徴があります。このような状態では、隣の歯を押してしまい、歯並びに影響を与えてしまう場合も。また、歯肉の中に一部だけ埋まった状態になると、汚れがたまりやすくなり、細菌が繁殖しやすい環境になります。
・腫れや痛みが出やすい
下の親知らずは、磨きにくい位置にあるため、お口の中で細菌が増えやすく、炎症が起こりやすいのが特徴です。その結果、歯ぐきが腫れる、痛みが出るといった症状が現れます。特に「智歯周囲炎」と呼ばれる炎症は、下の親知らずに多く見られ、放置すると頬や顎まで腫れが広がってしまう場合があります。感染が進行し、発熱や強い痛みを伴うケースもあります。
・抜歯が必要となるケースが多い
こうした状態が続くと、歯科での診療や治療が必要になります。特に、炎症を繰り返す場合や歯周病のリスクが高い場合には、抜歯が検討されることが多いです。下の親知らずは顎の骨に近く、神経との位置関係も重要になるため、抜歯は難易度が上の親知らずの抜歯より高くなることが多いです。そのため、歯科医師による適切な診断と、必要に応じた専門の歯医者や大学病院への紹介が行われることもあります。

【下の親知らずが引き起こす問題】
下の親知らずは、生え方や状態によってさまざまなトラブルを引き起こすことがあります。特に顎のスペース不足や磨きにくさが原因となり、お口の中で炎症や感染が起こりやすいのが特徴です。
①智歯歯周炎による腫れや痛み
下の親知らずで最も多い症状が「智歯周囲炎」です。これは、歯肉の中に細菌が入り込み、炎症を起こす状態のことを指します。歯肉が腫れる、強い痛みが出るといった症状が現れ、悪化すると頬や顎まで腫れが広がるケースもあります。また、感染が進むと口が開きにくくなる、発熱するといったケースもあり、早めの歯科での診療と治療が必要です。
②虫歯・歯周炎のリスク
下の親知らずは奥にあるため歯ブラシが届きにくく、汚れが残りやすい歯です。そのため、細菌が繁殖しやすく、親知らず自体だけでなく、手前の歯までむし歯になるリスクがあります。また、歯肉の炎症が慢性化すると歯周病につながり、お口全体の健康に影響を及ぼす場合もあります。このような状態になる前に、歯医者での定期的な相談やチェックが重要です。
③歯並びや噛み合わせへの影響
横向きや斜めに生えた下の親知らずは、隣の歯を押すことで歯並びを乱す原因に場合があります。特に矯正治療後の患者にとっては、後戻りの原因となることもあるため注意が必要です。このようなケースでは、将来的なトラブルを防ぐ目的で抜歯が検討されることがあります。

【下の歯の親知らずの抜歯が必要なケース】
①痛みや腫れがある場合
親知らず周囲に痛みや腫れが見られる場合、多くは細菌感染による炎症が起きている状態です。
特に、歯ぐきの中で親知らずが完全に生えきっていないケースでは、歯と歯肉のすき間に汚れが溜まりやすく、智歯周囲炎を引き起こす原因となります。
この状態になると、歯肉が腫れるだけでなく、顎や頬まで腫れが広がることもあり、強い痛みや口が開けにくいといった症状が現れることがあります。
また、炎症が進行すると膿がたまることもあり、発熱や倦怠感など全身的な症状を伴うケースもあります。
こうした場合には、早めに歯科で診療を受け、適切な治療を行うことが必要です。抗菌薬の投与や患部の洗浄によって炎症を抑えた後、根本的な原因である親知らずの抜歯を検討することが一般的です。
痛みが一時的に落ち着いたとしても、中で炎症が続いていることは少なくありません。
そのまま放置すると再発を繰り返し、周囲の歯や骨にまで影響を及ぼす可能性があります。そのため、違和感や軽い腫れの段階でも、歯医者や歯科医院へ相談しましょう。
②虫歯や歯周病のリスクが高い場合
親知らずはお口の一番奥に位置しているため、歯ブラシが届きにくく、汚れが溜まりやすい歯です。そのため、虫歯や歯周病のリスクが非常に高いとされています。
特に、斜めや横向きに生えた状態の親知らずは、手前の歯との間に食べかすや細菌がたまりやすく、知らないうちに炎症が進行してしまうことがあります。このような状態では、親知らずだけでなく隣の歯まで虫歯になるケースが多く、結果的に複数の歯の治療が必要になるケースも…。
また、歯肉の腫れや出血、口臭といった症状が見られる場合は、すでに歯周病が進行している可能性があります。
さらに進行すると、顎の骨にまで影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。
こうしたリスクが高い場合には、症状が出ていなくても予防的に抜歯を検討する場合があります。歯科医院での診療を通じて、お口全体の状態を確認し、将来的なトラブルを防ぐための適切な判断を行うことが大切です。
③歯並びに悪影響を及ぼす場合
親知らずは、一番奥に生える歯であるため、十分なスペースがない状態で無理に生えようとすることが多くあります。
このような場合、手前の歯を押す力がかかり、歯並びに悪影響を及ぼす原因となります。特に、斜めや横向きに生えた親知らずは、隣の歯を圧迫し続けることで、歯列全体のバランスを崩してしまうのです。
その結果、これまで整っていた歯並びが乱れたり、前歯が重なり合うような状態になるケースもあります。
こうした影響を防ぐためには、早い段階で歯科医師による診療を受け、お口全体の状態を確認することが重要です。歯並びへの影響が懸念されるケースには、将来的なトラブルを防ぐ目的で抜歯が必要と判断されることもあります。

【下の親知らずの抜歯方法と注意点】
①抜歯の流れと手順
親知らずの抜歯は、事前の診療からアフターケアまで段階的に進められます。安全に治療を行うためにも、それぞれの流れを理解しておくことが大切です。
まず初めに、歯科医院での診療にてお口全体の状態を確認します。
親知らずの生え方や顎の骨との位置関係、炎症や感染の有無をチェックし、抜歯が必要かどうかを歯科医師が判断します。レントゲンやCT撮影を行い、より詳細な状態を把握します。難しいケースでは、専門の医療機関へ紹介されることもあります。
次に、抜歯前の準備として、痛みや腫れが強い場合は先に炎症を抑える治療を行います。
細菌による感染がある状態のまま抜歯を行うと、術後の腫れや痛みが強く出る可能性があるため、抗菌薬の投与や洗浄などを行い、状態を整えてから処置に進みます。
実際の抜歯は、局所麻酔を行ったうえで進められます。
麻酔がしっかり効いているため、処置中の痛みはほとんど感じません。歯肉を切開したり、骨の一部を削る場合もあり、特に下の親知らずでは時間がかかることがありますが、安全に配慮しながら丁寧に進めていきます。
抜歯後は、止血のためにガーゼを噛んでいただきます。
その後、腫れや痛みを抑えるための注意事項が説明され、必要に応じて痛み止めや抗菌薬が処方されます。
術後は一時的に頬や顎が腫れることがありますが、多くは数日から1週間程度で落ち着きます。
また、抜歯後の経過観察も重要です。後日、歯科医院で診療を受け、傷口の状態や感染の有無を確認します。
異常がなければ抜糸を行い、治療は完了となります。

②術後のケアと注意事項
親知らずの抜歯後は、適切なケアを行うことで痛みや腫れを抑え、炎症や感染のリスクを防ぐことができます。
術後の過ごし方は回復に大きく影響するため、歯科医師の指示に従うことが重要です。
まず、抜歯直後は止血のためにガーゼをしっかり噛み、出血が落ち着くまで安静に過ごします。強くうがいをしすぎると、傷口にできた血のかたまり(血餅)が取れてしまい、治りが遅くなる原因となるため注意が必要です。
術後は、多少の痛みや腫れが出ることがあります。特に下の親知らずの場合、顎や頬まで腫れることもありますが、多くは数日で徐々に落ち着きます。痛みが強い場合は処方された痛み止めを服用し、腫れが気になる場合は冷やしすぎないように注意しながら患部を冷却します。
また、細菌による感染を防ぐためにも、お口の中を清潔に保つことが大切です。ただし、抜歯した部位は刺激しないようにし、歯ブラシが直接当たらないよう注意してください。
食事は当日から可能ですが、硬いものや刺激の強い食べ物は避け、やわらかいものを選ぶと安心です。さらに、飲酒や喫煙、激しい運動は血流を促進し、出血や腫れが悪化する原因となるため、術後数日は控える必要があります。入浴も長時間のものは避け、シャワー程度にとどめましょう。
万が一、強い痛みが長く続く、腫れがひどくなる、膿が出るなどの症状があったら、炎症や感染が進行している可能性があります。その際は早めに歯医者や歯科医院で診療を受けることが重要です。

③よくある質問とその回答
Q1. 親知らずの抜歯は痛いですか?
A. 抜歯は局所麻酔を行ってから処置するため、治療中の強い痛みはほとんどありません。ただし、麻酔が切れた後に痛みが出ることがありますが、処方される痛み止めでコントロール可能です。術後の腫れや炎症の程度には個人差があります。
Q2. 抜歯後はどのくらい腫れますか?
A. 特に下の親知らずの抜歯は、頬や顎まで腫れることがあります。多くは2〜3日後がピークで、1週間ほどで落ち着くケースが一般的です。ただし、炎症や感染の状態によっては腫れが長引く場合もあります。
Q3. 親知らずは必ず抜歯が必要ですか?
A. すべての親知らずが抜歯対象になるわけではありません。まっすぐ正常に生え、歯みがきがしやすい状態であれば、無理に抜歯する必要はない場合もあります。ただし、虫歯や歯周病のリスクが高い場合や、痛み・腫れなどの症状があれば、抜歯が推奨されます。
Q4. 抜歯後の食事はどうすればいいですか?
A. 当日はやわらかく刺激の少ない食事がおすすめです。熱いものや硬いものは避け、傷口に負担をかけないようにしましょう。また、食後は強いうがいを控え、お口の中を清潔に保つことが大切です。
Q5. 仕事や学校はいつから復帰できますか?
A. 軽い抜歯ケースは、当日や翌日から通常の生活が可能なことも多いですが、下の親知らずの抜歯などで腫れや痛みが出ていたら、2〜3日ほど安静にすることをおすすめします。診療時に歯科医師へ相談すると安心です。
Q6. 親知らずの抜歯にはどれくらい時間がかかりますか?
A. 親知らずの生え方や骨の状態によって異なりますが、比較的簡単なケースであれば10〜20分程度、難しい場合は30分以上かかるケースもあります。事前の診療でおおよその時間について説明があります。
Q7. 抜歯後に気をつけるべき症状はありますか?
A. 強い痛みが長く続く、腫れが悪化する、膿が出るなどの症状があれば、炎症や感染の可能性があります。その際は早めに歯医者や歯科医院で診療を受けることが重要です。
