親知らずが腫れる原因とは?腫れた時どうしたらいい?
25.12.26
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親知らずが腫れる原因
【親知らずの生え方と腫れの関係】
親知らずは10代後半〜20代前半に生えてくる、一番奥に位置する永久歯で、正式には「第三大臼歯」や「智歯(ちし)」と呼ばれます。上下左右で最大4本ありますが、生える本数や状態は人それぞれです。
生え方は個人差があり、親知らずが「4本すべて生える人」もいれば、「1本も生えない人」もいます。
正しい位置に生えてこないと腫れる原因となります。
正常に生える場合
まっすぐ生え、歯ぐきに完全に露出している
炎症や痛みが起こりにくく、抜歯の必要がないことも
異常に生える場合
横向き・斜め・一部だけ出ている・完全に埋まっている
食べかすが溜まりやすく、炎症・腫れ・虫歯・歯周病の原因に
多くの場合、抜歯が推奨される
親知らずは、生え方や位置によって 周囲の歯(特に手前の奥歯)に大きな影響を与えることがあります。
①手前の歯が虫歯になる
→親知らずとの隙間に歯ブラシが届きにくく、食べかす・プラークが溜まりやすい。結果的に、親知らずよりも手前の奥歯(第二大臼歯)が先に虫歯になることも。
②歯周病の原因になる
→親知らずの周りは歯垢がたまりやすく、歯ぐきの腫れ・出血・膿が出やすい。特に半分埋まっている親知らずは、細菌の侵入口になりやすい。
③歯並びが乱れる(圧迫)
→親知らずが横向きに生えると、前の歯を押してしまい、前歯がガタガタになることがある。矯正後の人は要注意。
④隣の歯の根が吸収される(歯根吸収)
→親知らずが斜めに当たって長期間放置すると、手前の歯の根が溶けるようなダメージ(歯根吸収)が起きることがある。進行すると抜歯しかない。
⑤痛み・腫れ・炎症が手前の歯にも広がる
→親知らず周囲の炎症(智歯周囲炎)が進むと、手前の歯の神経が炎症を起こすことも。ズキズキした痛み、咬むと痛いなどの症状に。
⑥ブリッジやインプラントができなくなる
→手前の奥歯がダメになると、失った歯を支える場所がなくなる。親知らずが原因で複数の歯を失うこともある。
【炎症が引き起こす腫れのメカニズム】
親知らずの炎症は、特に「半分埋まっている状態(半埋伏)」や「横向きに生えている」場合に非常に起きやすいです。
その炎症は「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼ばれます。

親知らずの炎症(智歯周囲炎)のメカニズム
①歯ぐきにすき間ができる
親知らずが斜めや横向き、あるいは一部だけ顔を出していると、親知らずの周囲の歯ぐき(歯肉)との間に“すき間”や“ふた”のようなものができます。
この部分は「フラップ(歯肉弁)」と呼ばれ、汚れが非常に溜まりやすいです。
②汚れがたまると細菌が繁殖する
食べかすや歯垢(プラーク)がこのすき間に入り込む。
通常の歯ブラシでは届かないため、汚れが取り切れずどんどん溜まります。
この汚れが細菌のエサになり、嫌気性菌(酸素を嫌う細菌)が繁殖します。
③体が「炎症反応」を起こす
細菌に対して体が反応し、免疫細胞(白血球など)が集まリます。
この過程で炎症が起き、以下の症状が出ます。
炎症症状
・腫れる
免疫反応による血流の増加・細胞の膨張
・痛む
炎症物質(プロスタグランジンなど)が神経を刺激
・熱を持つ
血流増加による発熱反応
・膿がたまる
白血球が細菌と戦った“戦いのあと”が膿(うみ)としてたまる
④さらに進行すると…
顎の骨にまで炎症が波及 → 骨髄炎・蜂窩織炎(ほうかしきえん)になることも。
リンパ節が腫れる/喉が痛くなる/発熱/口が開かないなど、全身症状が出ることもあります。
腫れた親知らずの症状と診断
【初期症状】
腫れた親知らずの症状としては、まず痛みを伴うことがほとんどです。
この痛みは周囲に広がることもあり、噛むと痛みを生じたり口が開きにくくなったりします。
炎症が強いと、発熱・倦怠感・リンパの腫れなど全身症状が出ることもあります。
【診断に必要な検査とその流れ】
一般的な歯科医院での検査の流れはまず口腔内を視診し、腫れ具合や炎症の大きさを確認します。
その後レントゲン撮影をして親知らずの位置や、周囲の骨の状態を把握します。
場合によっては、感染の有無を確認するために血液検査が行われることもあります。
必要に応じてCT検査(立体的な画像診断)も撮影します。
必須ではありませんが、下顎の神経(下歯槽神経)と親知らずが接している場合や歯根の形が複雑な場合などはCTが必要です。
親知らずの腫れに対する応急処置
【冷やすことの効果と方法】
腫れたら冷やすという考える方が多いと思います。
一時的な応急処置として冷やすことは炎症を抑え、痛みを和らげてくれる効果があります。
冷やす際は氷や冷却パックをタオルで包み、直接肌に当てないようにしましょう。15分程度冷やしたら休憩をはさむといいです。
冷やしすぎは逆効果です。
血流が悪くなり、治癒が遅れる可能性があります。
【市販薬の利用と注意点】
市販の痛み止めは、親知らずの腫れによる痛みを和らげるのに役立ちます。使用する際は、必ず用法・用量を守り、過剰摂取を避けましょう。
痛み止め ロキソニン・イブなど(胃薬と一緒に)
うがい薬 殺菌作用のあるもの(イソジン・コンクールなど)
※また、アレルギーや副作用が出ることもあるため、初めて使用する薬は慎重に選ぶことが大切です。

親知らずの腫れを放置するリスク
【重症化する可能性とその影響】
親知らずの腫れを放置すると炎症が悪化し、重症化するリスクが高くなります。
炎症が進行すると頬まで腫れることもあります。
感染症を引き起こしたり痛みが悪化します。感染が広がると、治療が難しくなり、入院が必要になることもあるため、早期の対処が重要です。
【他の歯や健康への影響】
腫れを放置すると隣の歯に影響を及ぼすことがあります。
親知らずが斜めや横向きに生えていると間に汚れがたまりやすく虫歯や歯周病になりやすくなります。
親知らずがまっすぐ生えず、前方の歯を押すように生えてくると、隣の歯がおされて歯並びが悪くなることがあります。
親知らずの腫れを予防するためのケア方法
【日常的な口腔ケアの重要性】
まずは普段のお家でのケアがとても大切です。
毎日の歯磨きを徹底し、特に親知らずは時間をかけて丁寧に磨きましょう。
歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシなどを使って歯と歯の間を綺麗にして清潔にしましょう。
マウスウォッシュは殺菌作用があるので口腔内の細菌を減らしてくれます。
歯磨き後に使用すると効果的です。
食後は食べ物が挟まりやすいのでお口をゆすげる環境であればゆすいで食べかすをとってあげたほうが良いです。
【定期的な歯科検診のすすめ】
親知らずの腫れを未然に防ぐためには、定期的な歯科検診が非常に重要です。理想的には、半年に一度の検診を受診、歯科医に診療してもらいましょう。
症状がひどくなる前に歯科医院を受診することで、治療にかかる時間や負担を大幅に軽減できます。
親知らず周囲の炎症や虫歯など早期に発見し腫れや痛みが悪化するのを防げます。
当院では、親知らずの腫れや痛みに関する診療を随時行っており、患者様一人ひとりに合った治療方針を提案しております。
必要に応じて、専門機関への紹介も行っております。
事前の相談や予約もWEB・お電話にて承っております。アクセスしやすい立地にあり、通いやすい医院づくりを心がけておりますので、親知らずでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

腫れた親知らずの対処法と抜歯の選択肢
【治療法の種類とその効果】
① 抗生物質・消炎鎮痛剤の処方
炎症が起きている場合・腫れ・痛みを抑えるために薬で一時的に対応し、落ち着いてから抜歯などを検討する。
②痛みどめを使用
痛みを和らげるために痛みどめを飲みます。
市販薬でも歯医者で処方されたものでも大丈夫ですが、
飲み過ぎや胃に負担がかかるため、空腹時は避けましょう。
③徹底した口腔ケア
口腔ケアを徹底することで、感染のリスクを減少させ、回復を促進することができます。
【抜歯のメリットとデメリット】
抜歯をすることで根本的な痛みや腫れを除去することができます。
ただし、抜いたことによって痛みや腫れたり感染、麻痺が残るリスクがあるので歯科医師の話しをよく聞いて指示を守って治療受けてください。
【まとめ】
たくさんの方が親知らずの腫れや痛みに悩まされることが多いと思います。
安静にし、正しい応急処置や知識を身につけて冷静に対処することが大切です。
また日常の口腔ケアもとても大事です。親知らずの周りは丁寧に時間をかけて磨くようにしてください。