歯が痛いけど虫歯じゃない?原因別の見分け方と治療法のまとめ
25.12.28
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【歯が痛い原因とは】
◇虫歯の進行とその影響
虫歯は誰にでも起こりうる身近な病気ですが、放置すると歯を失う大きな原因になります。ここでは虫歯がどのように進行していくのか、そしてその影響について解説します。
①虫歯はこうして進行する!!
虫歯は歯の表面からゆっくりと内部へ進行していく病気です。進行の段階によって痛みや治療内容が異なります。
◉C1:エナメル質の虫歯(初期)
歯の表面(エナメル質)が酸で溶けて、白く濁ったり黒ずんだりする段階です。痛みはほとんどありませんが、この時点で気づけばフッ素塗布などで再石灰化が期待できます。
◉C2:象牙質の虫歯(中期)
虫歯がエナメル質の下にある象牙質まで進行した段階です。冷たいものや甘いものがしみる、痛むなどの症状が起きるのが特徴です。この段階では虫歯を削って詰める治療が必要になります。
◉C3:神経まで進んだ虫歯(重度)
虫歯が歯の神経(歯髄)まで進むと、ズキズキと強い痛みが出ます。根管治療(神経の治療)が必要で、放置すると歯の根の先に膿がたまることがあります。
◉C4:歯根だけ残る虫歯(末期)
歯冠部が崩壊して歯根だけが残った状態です。神経が死んで一時的に痛みが消えることもありますが、感染や炎症が広がり、顎骨に影響する危険もあります。ほとんどの場合、抜歯が必要となります。
②早期発見が重要!!
虫歯は初期の場合ほとんど痛みを感じません。そのため、「痛くないから大丈夫」と放置してしまう人も多いですが、実はこの時期こそ治療のチャンスです。虫歯が進行すると冷たいものがしみる、ズキズキ痛むといった症状が現れます。この段階になると治療も複雑となり、神経の処置や抜歯が必要となることもあります。一方で、早期発見・早期治療ができれば削る範囲も少なく、痛みもほとんど感じません。定期的に歯科検診を受けたり、少しでも違和感や痛みを感じたら、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。それが将来の大きな痛みや治療費の負担を防ぐいちばんの方法です。

◇歯周病が引き起こす痛み
①歯周病は初期症状が少ない!!
歯周病は初期の段階ではほとんど自覚症状がないことが特徴です。痛みがなく、見た目の変化も少ないため、気づかないうちに進行しているケースが多く見られます。初期の歯周病では、歯肉の腫れ・出血・口臭などの軽い症状が現れますが、放置すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶け、歯がグラグラする・噛むと痛い・最終的に歯が抜けるといった重度の症状に進行していきます。そのため「痛くない=健康」ではありません。早期発見のためには定期的な歯科検診で歯肉の状態をチェックし、小さな異変を見逃さないことが大切です。
②進行すると歯肉が腫れる!!
歯周病が進行すると、歯肉が腫れて赤くなるのが特徴です。これは歯と歯肉の間に溜まったプラークや歯石の中で細菌が増殖し、炎症を起こすためです。初期の段階では軽い出血や違和感程度ですが、進行すると歯肉がブヨブヨと腫れる・痛みや強い口臭・歯が浮くような感覚が出てきます。さらに放置すると歯を支える歯槽骨にまで炎症が広がり、歯がグラグラする・噛むと痛い・最終的に歯を失うことにもつながります。腫れや出血などがある場合は自然に治ることはほとんどありません。早めに歯科医院を受診して、歯石除去や炎症の治療を行うことが大切です。
③痛みを伴う場合は治療が必要!!
歯周病は歯肉や歯を支える歯槽骨に炎症が起こる病気です。初期は痛みがほとんどないため気づきにくいですが、歯肉の腫れ・出血・噛んだ時の痛みがある場合は進行しているサインです。痛みを伴う状態は、炎症が深い部分まで広がっている証拠であり、放置すると歯を支える骨が溶けて歯を失う可能性もあります。歯周病は自然に治ることはありません。歯科でのクリーニングや進行している場合は外科処置などの治療が必要になります。違和感や痛みを感じたら早めに歯科医院を受診しましょう。

◇親知らずの問題と痛み
親知らず(智歯)は口のいちばん奥に生える歯で、多くの場合、まっすぐ生えずに歯肉や隣の歯を圧迫することでトラブルを起こします。生えるスペースが足りないと、腫れ・痛み・炎症を引き起こす「智歯周囲炎」になることがあります。さらに食べかすが溜まりやすく、細菌感染による強い痛みや顎の腫れにつながることがあります。痛みが続く場合や口が開けづらい場合は早めに歯科医院で診断・治療を受けることが大切です。必要に応じて抜歯を行い、炎症を抑えることで痛みを改善できます。

【歯痛の種類とその特徴】
◇鈍い痛みと鋭い痛みの違い
歯の痛みには「鈍い痛み」と「鋭い痛み」があり、原因や症状の進行度が異なります。鈍い痛みは、歯の内部や歯肉で炎症がゆっくり進行しているサインです。虫歯や歯周病、根の感染、歯ぎしりなどが原因となり、ズーンと重い痛みや噛むと違和感がある状態が続くことがあります。一方で鋭い痛みは、知覚過敏や虫歯などで神経が直接刺激されている状態です。冷たいものや歯ブラシの刺激でキーンと一瞬強く痛むのが特徴です。痛みの種類によって必要な治療は異なります。鈍い痛みが続く場合は神経や歯根のトラブルの可能性が高く、早めの歯科受診が重要です。短くて鋭い痛みが続く場合も、知覚過敏や虫歯の進行を防ぐために早めに診てもらいましょう。
◇痛みの発生するタイミング
歯の痛みは時間帯や行動によって強く感じるタイミングが異なります。そのタイミングを知ることで、原因を見極める手がかりになります。痛みが続いたり、強くなる場合は、早めに歯科医院で診断・治療を受けることが大切です。
①飲食時:冷たい・熱い・甘いものを口にした時に痛む場合は知覚過敏や虫歯の初期症状が疑われます。
②夜や寝る前:夜間にズキズキと痛む場合は虫歯や神経(歯髄)の炎症が進行しているサインです。横になると血流が増えて痛みが強く感じられます。
③噛んだ時や圧をかけた時:噛むと痛い場合は、歯根の炎症・歯周病・歯の亀裂が疑われます。放置すると歯を支える骨にまで炎症が広がることもあります。
④朝起きた時:寝ている間の歯ぎしりや食いしばりが原因で歯に負担がかかり、朝起きた時に鈍い痛みを感じることがあります。

【歯痛を和らげるための応急処置】
◇痛み止めの使用方法
歯の痛みが強い場合は市販の痛み止め(鎮痛剤)を使うことで一時的に痛みを和らげることができます。ただし、薬はあくまで一時的な対処であり、根本的な治療には歯科医院での診察が必要です。
①痛み止めの種類
・ロキソニン(ロキソプロフェン)
・イブプロフェン(イブなど)
・アセトアミノフェン(カロナールなど)
といった非ステロイド性抗炎症薬です。炎症を抑え、ズキズキする痛みを和らげます。
②正しい服用のタイミング
痛みが強くなる前、「ズキズキし始めたタイミング」で服用すると効果的です。症状が悪化してから飲むと、効き始めるまでに時間がかかることがあります。
③注意点と禁忌
・空腹時の服用は胃腸に負担がかかるため、食後に服用しましょう。
・指定量を守り、連続して服用しないことが大切です。
・痛み止めを飲み続けても治らない場合は、炎症や感染が進行しているサインです。早めに歯科医院を受診しましょう。
④子どもや妊婦の場合
妊娠中や授乳中、子どもの場合は使用できる薬の種類が限られます。必ず、医師・歯科医師・薬剤師に相談してから使用しましょう。

◇冷やすことの効果
歯がズキズキ痛む時に、患部を冷やすことで一時的に痛みを和らげることができます。冷やすことで炎症の熱を下げて、血流を抑える効果があるため、腫れや痛みを軽減できるのです。
①冷やし方のポイント
・保冷剤や冷たいタオルを頬の外側から当てる。(直接、歯や歯肉に当てないこと)
・1回10〜15分程度を目安に冷やす。
・長時間冷やしすぎると皮膚が痛むため注意しましょう。
②冷やしてはいけない場合
歯の痛みが冷たい刺激で強くなる場合(知覚過敏や初期の虫歯)は、冷却は逆効果です。また、熱がなくて鈍い痛みだけの場合は冷やすよりも安静にして早めに歯科を受診しましょう。

【歯痛を放置するとどうなる】
◇進行するリスクと合併症
歯の痛みを「そのうち治るだろう」と放置すると、症状が悪化し、重大な合併症を引き起こすリスクがあります。痛みは体からのSOSサインです。早めの対応が大切です。
①虫歯や歯周病の進行
歯痛のほとんどが虫歯や歯周病によるものです。放置してしまうと…
・虫歯が神経まで進行して、激しい痛みを伴う。最悪の場合抜歯になることも。
・歯周病が進み、歯肉の腫れや出血、歯のぐらつきが生じる。など、症状が悪化していきます。
②神経の壊死と歯の喪失
炎症が歯の神経まで達すると、やがて神経が死んで痛みが一時的に消えることがあります。しかし、その状態を放置すると歯根の先に膿が溜まり、最終的に抜歯が必要となることがあります。
③顎や全身への感染拡大
さらに悪化すると、炎症が顎の骨や顔の周囲に広がることもあります。稀に細菌が血流に乗って全身に広がり、命に関わる感染症を起こすケースもあります。
④早期治療で防げるリスク
歯痛は早期に対処すれば、神経を残したままの治療や軽い処置での改善が可能です。一方で放置すると治療が複雑になり、費用や通院回数も増えてしまいます。

◇治療が遅れることの影響
歯の痛みや違和感を放置して治療が遅れると、症状が進行して治療内容や費用、回復までの時間に大きな影響が出てきます。
①症状の悪化と治療の長期化
初期の虫歯や歯周病であれば、簡単な処置で短期間の治療が可能です。しかし、治療を先延ばしにすると炎症が広がり、神経の治療や抜歯が必要になることもあります。
②費用の増加
軽度の虫歯であれば数千円で済みますが、重度になると治療費が数倍以上に増えることもあります。早期治療は時間とお金の節約にもつながります。
③歯を失うリスク
放置すると歯根や歯肉にまでダメージが及び、最悪の場合は歯を失う原因にもなります。失った歯の代わりにインプラントや入れ歯、ブリッジが必要となり、さらに大きな負担となります。
④生活の質の低下
痛みや噛みにくさが続くと、食事や会話に支障をきたし、日常生活の快適さが失われる可能性があります。

【歯痛を予防するための生活習慣】
◇正しい歯磨き習慣
毎日の歯磨きは虫歯や歯周病、口臭を防ぐための基本です。しかし、間違った磨き方や不十分なケアを続けているとせっかく磨いても汚れが残り、歯や歯肉を傷つけてしまうこともあります。正しい歯磨き習慣で健康な口腔環境を守りましょう。
◇定期的な歯科検診の重要性
「痛みがないから大丈夫」と思っていませんか?実は虫歯や歯周病は初期のうちは自覚症状がほとんどありません。症状が出た時はすでに病気が進行していることも多く、治療に時間や費用がかかってしまいます。そのため、定期的な歯科検診を受けることは歯の健康を守るためにとても大切です。

【まとめ】
歯の痛みは虫歯や歯周病、親知らずなどさまざまな原因で起こります。初期のうちは痛みがなくても放置すれば悪化し、神経の治療や抜歯が必要になることもあります。早期発見や早期治療が何より大切です。定期的な歯科検診と正しいセルフケアで健康な歯を守りましょう。痛みや違和感を感じたら、我慢せずに早めに歯科医院を受診することが将来の歯を守る最善の方法です。
