歯がしみる原因とは?考えられる理由と正しい対処法を歯科医が解説!
25.12.29
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【歯がしみる原因を理解しよう】
◇知覚過敏とは何か
「冷たいものを飲んだ時にキーンと痛む」「歯ブラシが当たるとしみる」このような症状を感じたことはありませんか?それは、知覚過敏と呼ばれる状態かもしれません。

①知覚過敏とは?
知覚過敏とは歯の象牙質と呼ばれる部分が露出し、刺激が神経に伝わりやすくなっている状態の事をいいます。健康な歯は「エナメル質」という硬い層に守られていますが、何らかの原因でこのエナメル質がすり減ったり、歯肉が下がって歯の根本が露出すると、内部の象牙質がむき出しになります。象牙質には「象牙細管」という細い管が無数にあり、その奥には神経(歯髄)に伝わる通路があります。このため、冷たい・熱い・甘い・酸っぱい・歯ブラシの刺激などが直接神経に伝わり、「しみる」「痛い」と感じるのです。
②知覚過敏の主な原因
・強すぎるブラッシング:力を入れすぎて磨くことで、エナメル質や歯肉を傷つけ、歯の根元が露出します。
・歯ぎしり、くいしばり:歯に過度な力が加わることで、表面のエナメル質がすり減ります。
・歯周病:歯肉が下がって歯根が露出し、象牙質が外部にさらされます。
・酸性の飲食物:炭酸飲料や柑橘類などの酸がエナメル質を溶かす「酸蝕症」を引き起こすことがあります。
・ホワイトニング後:一時的に歯の表面が敏感になることで知覚過敏を感じることがあります。
③知覚過敏と虫歯の違い
知覚過敏の痛みは一時的で刺激がなくなるとすぐおさまるのが特徴です。一方で虫歯の痛みは何もしていなくてもズキズキ痛むことが多く、放置すると進行していきます。症状だけでは見分けにくいため、自己判断せずに歯科医院での診断を受けることが大切です。

【歯がしみる症状の特徴】
歯がしみる症状は知覚過敏や虫歯、歯周病などのさまざまな口腔内トラブルのサインです。しみる症状の特徴を理解しておくことで、原因の早期発見や適切な治療につながります。
①刺激によって一時的に痛む
歯がしみる症状の多くは一瞬チクッと痛みを感じてすぐにおさまるのが特徴です。特に冷たい飲み物や歯ブラシなどの、外部からの刺激が加わった時に痛みが出やすくなります。このタイプは知覚過敏によるものが多く、刺激がなくなれば痛みも治る傾向があります。
②温度、味、接触など特定の条件で反応する
しみる原因となる刺激は人それぞれ異なります。
・冷たいもの:知覚過敏や軽度の虫歯の可能性。
・熱いもの:神経(歯髄)の炎症が進行している可能性。
・甘いもの、酸っぱいもの:エナメル質の損傷や虫歯の可能性。
・歯ブラシや風:歯肉の退縮、象牙質の露出の可能性。
③痛みが続くがどうかで重症度がわかる
刺激がなくてもしみる症状が続く場合は要注意です。これは虫歯が進行している可能性があります。ズキズキと脈を打つような痛みや夜間の痛みがある場合は早急に歯科を受診しましょう。
④特定の歯だけがしみる場合
「この歯だけしみる」という場合は、虫歯・詰め物の不適合・歯の亀裂・歯根の露出など局所的なトラブルが疑われます。放置すると症状が悪化しやすいため、早めに歯科医院で診断を受けましょう。
⑤しみる範囲が広い場合
口腔内全体や複数の歯がしみる場合はブラッシング圧の強さや酸蝕症、歯周病による歯肉の退縮など、生活習慣や全体的な口腔内環境の問題が関係している可能性があります。

【歯がしみる原因別の対策】
歯がしみる症状の対策は、原因に合わせて日常生活の工夫や歯科治療で対応できます。以下に詳しくまとめます。
①知覚過敏の対策法
<歯磨きの工夫>
・柔らかい歯ブラシを使用しましょう。硬いブラシで磨くと歯の表面が削れやすくなります。
・力を入れすぎず、優しく磨きましょう。ゴシゴシ強く磨くとエナメル質が傷つき、知覚過敏が悪化してしまいます。
・知覚過敏用の歯磨き粉を使用しましょう。フッ素や硝酸カリウムが配合されているので、歯の神経への刺激を抑える効果があります。
<食生活の改善>
・酸性の食品や飲料を控えましょう。炭酸飲料や果汁、お酢などは歯の表面を溶かす(酸蝕症)の原因となります。
・冷たい、熱い飲食物の刺激に注意しましょう。急激な温度変化もしみやすくなります。
<歯科での処置>
・フッ素塗布をしましょう。歯の再石灰化を促進し、知覚過敏を緩和する効果があります。
・象牙質保護剤の塗布をしましょう。神経への刺激をブロックする塗布剤です。
・レジン充填検討をしましょう。歯の表面の削れや亀裂を埋めることでしみるのを防ぎます。
・マウスピース(ナイトガード)を使用しましょう。歯ぎしりやくいしばりによる知覚過敏を緩和します。
<生活習慣の改善>
・歯ぎしりやくいしばりを改善しましょう。ナイトガードの使用やボトックス注射、リラックス法で歯への負担を軽減しましょう。
・定期的に歯科検診を受けましょう。初期の知覚過敏や歯の損傷を早期に発見、対処することが大切です。
◎知覚過敏は放置すると虫歯や歯の摩耗につながることがあります。軽度なら自宅でのケアで改善することもありますが、症状が続く場合は早めに歯科を受診することをおすすめします。
②虫歯や歯周病の治療法
虫歯や歯周病の対処法は症状の進行度によって異なりますが、共通して大切なのは「早期発見・早期治療」と「日常ケア」です。
<定期的な歯科検診を受けましょう>
定期的に歯科検診を受けることで、虫歯や歯周病を早期発見・早期治療ができます。痛みが出る前に見つけることで治療が軽く済み、歯を長く守ることができます。また、歯科を受診することで家庭では落とすことができない歯石や汚れを除去でき、お口の中を清潔に保てます。正しい歯磨きの仕方や食生活のアドバイスも受けられるのがポイントです。検診の目安は3〜6ヶ月に1回です。「痛くなる前に通う」ことが健康な歯を保つ一番の近道です。
<早期発見・早期治療を心がけましょう>
虫歯や歯周病は、初期のうちは痛み自覚症状がほとんどありません。そのため、痛くなってから行くのではなく、早めの受診がとても大切です。早期に見つけて治療をすれば治療の痛みや時間、歯を削る量も減らせます。また費用の負担も軽減することができます。定期的な検診と正しいケアでトラブルを未然に防ぎましょう。
<適切な口腔ケアを実践しましょう>
毎日の口腔ケアが虫歯や歯周病を防ぐいちばんの方法です。さらに定期的な歯科検診で歯科医師、歯科衛生士によるプロのチェックとクリーニングを受けることで健康な歯を長く保つことができます。

【セルフチェックで早期発見】
<自宅でできるセルフチェックリスト>
鏡を見ながら確認してみましょう!
・歯の色は変わっていませんか?
・歯肉の色が赤くなっていたり、晴れていませんか?
・歯磨きの時に出血はありませんか?
・口臭は強くなっていませんか?
・冷たいものや甘いものはしみませんか?
少しでも気になる症状があれば、早めに歯科医院で相談しましょう。自宅でのチェックを習慣化することで、虫歯や歯周病の早期発見につながります。
<異常を感じたらすぐに受診を>
「少し痛い」「歯肉が腫れている」などの小さなサインも、放っておくと悪化することがあります。早めに受診することで次のようなメリットがあります。
・治療が簡単に済む。
・痛みや費用の負担が軽減する。
・歯を守ることができる。
自己判断で様子を見ないで、気がついたらすぐに受診することが大切です。早期の対応が、健康な歯を保ついちばんの近道です。

【歯がしみる時の生活習慣】
<食生活の見直し>
歯がしみる生活習慣の一つに、食生活の影響があります。日々の食べ方を少し意識するだけで知覚過敏の症状を和らげることができます。
①酸性の食品、飲み物を控える
炭酸飲料や果汁ジュース、酢の物などは歯の表面(エナメル質)を溶かしやすくします。飲んだ後は水で口をゆすいだり、ストローを使用すると良いです。
②間食や甘いものを摂りすぎない
砂糖を多く含む食品は、虫歯菌が酸を出しやすくなり、歯を弱くします。間食の量を減らし、食後は歯磨きをする習慣をつけましょう。
③熱い、冷たいものの刺激を避ける
極端に冷たいものや熱いものは、しみる症状を強めます。常温の水やぬるめの飲み物を選びましょう。
④バランスの良い食事を心がける
カルシウム、ビタミンD、タンパク質などは歯や歯肉を丈夫にします。牛乳や魚、卵、緑黄色野菜などを積極的に取り入れましょう。

<正しい歯磨き方法>
毎日の歯磨きを正しく行うことで虫歯や歯周病、知覚過敏を防ぐことができます。
①歯ブラシの選び方
・普通〜やわらかめの毛を選ぶ
・嘔吐反射があったり、お口が小さい場合は小さめのヘッドのものを選ぶ
②歯ブラシの持ち方
・ペングリップ(鉛筆を持つように)で軽めに持つ
・力を入れすぎない(強く磨くと歯や歯肉が傷つきます)
③磨く角度と動かし方
・歯と歯肉の境目に45度の角度でブラシを当てる
・小刻みに優しく動かす(1本ずつ磨くイメージで)
④磨く順番を決める
磨き残しを防ぐために毎回同じ順番で磨くと良い(例:奥歯の外側→前歯→内側→噛み合わせの面)
⑤歯と歯の間や細かい部分もケア
・歯間ブラシやデンタルフロスで歯間部の汚れを除去する
・1日1回(特に夜)は使用する習慣をつけましょう
⑥歯磨き粉はフッ素配合のものを
・虫歯予防、知覚過敏の緩和にフッ素が効果的
・歯磨きの後のうがいは軽目にしましょう(フッ素をお口の中に残すため)

【歯科医院での治療とケア】
歯がしみる症状が続く場合は、知覚過敏や虫歯などが進行している可能性があります。歯科医院では原因に合わせて次のような治療やケアを行います。
①フッ素塗布
フッ素を歯の表面に塗布することで、歯の再石灰化を促したり、刺激から歯を守ったり、知覚過敏を緩和する効果が期待できます。
②知覚過敏抑制剤の塗布
歯の表面や根面の露出部分に薬剤を塗って、神経への刺激をブロックします。軽症の知覚過敏の場合はこれで改善することも多いです。
③詰め物、被せ物による修復
歯の表面が剥がれていたり、欠けていたりする場合はレジン(詰め物)や被せ物でカバーをして刺激を防ぎます。
④虫歯や歯の亀裂が原因の場合
虫歯やひび割れがあると知覚過敏に似た痛みが起こります。その場合は、虫歯の除去をして詰め物の治療をしたり、感染が広がっている場合は、必要に応じて神経の処置(根管治療)を行い、痛みの原因を根本から取り除きます。虫歯が進行すると抜歯となることもあります。早めに受診を。
⑤歯ぎしり、くいしばりが原因の場合
強い力で歯に負担がかかると知覚過敏を悪化させます。マウスピースやボトックス注射で歯や顎を守り、負担を軽減します。
⑥定期的なメンテナンス
治療後も再発防止のために、フッ素塗布やプロのクリーニング、正しいブラッシング指導を定期的に受けることが大切です。

【まとめ】
歯がしみる原因は知覚過敏をはじめ、虫歯や歯周病、生活習慣などさまざまです。軽度の知覚過敏なら自宅でのケアで改善することもありますが、症状が続く場合は早めの歯科受診が大切です。正しい歯磨きや食生活の見直し、定期的な検診を心がけることで、しみない健康な歯を守りましょう。
