噛むと歯が痛い!見逃せない原因と治療までのポイント
25.10.24
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噛むと歯が痛い!見逃せない原因と治療までのポイント
【噛むと歯が痛い原因とは】
噛むと歯が痛む原因は以下のように様々なものが考えられます。それぞれ放置すると状態が悪化する可能性があるため、気になる症状があれば早めの受診をおすすめします。

①虫歯(う触)
・歯の内部(象牙質や歯髄)まで虫歯が進行すると、神経に刺激が伝わり『噛んだ時の痛み』につながります。
・虫歯初期(CO〜C1:エナメル質にとどまる虫歯)の状態では症状が出ないことが多く、噛んだ時だけ痛む場合は中度〜重度の虫歯の場合も…。

②歯周病
・歯ぐき(歯肉)や歯を支える骨(歯槽骨)が炎症を起こして歯がグラついたりすると噛んだ時に痛みが出ることがあります。
・歯ぐきからの出血や腫れを伴うことが多いです。

③噛み合わせの異常(咬合性外傷)
・歯ぎしり、くいしばり、詰め物や被せ物の高さが合っていない場合、特定の歯に過剰な力がかかり強い痛みが出ることがあります。

④歯根膜炎
・歯の根っこの周囲になる膜(歯根膜)に炎症が起きると、噛むときに圧痛(押し返すような痛み)を感じることがあります。
・虫歯や歯の打撲、治療後の一時的な炎症などが原因になることがあります。
⑤歯の破折やヒビ
・目に見えないヒビが入っていると、噛んだ時にズキっと痛むことがあります。
・放置すると抜歯になることも…。
【噛むと痛い時の対処法(応急処置)】
噛むと痛い時の対処法は、原因によって異なりますが、一時的な対処法と根本的な治療のための行動に分けて考えることが大切です。以下に具体的な対処法をまとめます。
①痛い側で噛まないようにする
・痛みがある歯は使わずに、反対側の歯で噛むようにしましょう。
・食事は柔らかいものや常温のものを選ぶと良いです。

②冷たい飲食物や熱いものを避ける
・知覚過敏や神経の炎症がある場合は、温度刺激で痛みが強くなる場合があります。
・冷たい水や熱いスープは控えると良いです。
③歯を清潔に保つ
・食べかすや汚れ(歯垢や歯石など)がたまると炎症が悪化する場合があります。
・優しく歯磨きをしてお口の中を清潔に保ちましょう。

④痛み止めの薬を使う(一時的に!!)
・鎮痛剤が有効な場合があります。
・ただし、痛みを薬でごまかして放置することは危険です。あくまでも受診までの一時的なしのぎと考えてください。

⑤冷やして痛みを和らげる
・痛む部分を冷やすことで、血流を抑制して、痛みが軽減する場合があります。
・氷をタオルで包み、痛みがある部分を冷やしましょう。ただし、冷やしすぎには注意が必要です。適度な時間で冷やすようにしましょう。

⑥歯ぎしり、くいしばりを避ける
・就寝中やストレスを感じている時、集中している時などに歯に無意識に強い力がかかっている場合があります。
・朝起きた時に歯や顎に痛みを感じる場合は、就寝時にマウスピースを使用することを検討しましょう。(歯科医院で作ることができます。)

応急処置で一時的に症状が良くなっても、根本的な原因(虫歯、歯周病、ひび割れなど)を治さなければ治りません。「そのうち治るかも…。」と放置せず、早めを歯科医院に受診しましょう。
【歯が痛い時に避けるべき行動】
噛んだ時に歯に痛みがある場合、痛みを悪化させたり、治療を遅らせたりする原因となる『控えるべき行動』がいくつかあります。以下に具体的にまとめます。
①刺激を与える行動
・冷たい、熱い飲食物をとることは避けましょう。
・硬いもの(せんべい、ナッツ、氷など)を無理に噛まないようにしましょう。
・虫歯や歯にヒビが入っている場合、悪化や破折の原因となります。

②自己判断で薬を使いすぎる、放置する
・自己判断で痛み止めの薬や抗生物質の薬を長期間使用し続けることはとても危険です。
・一時的に症状を抑える効果はありますが、根本的な原因は治っていません。
③激しい運動や入浴(炎症が強い場合)
・強い炎症がある場合、激しい運動や入浴で体温が上がると痛みが悪化するリスクがあります。
・腫れがある場合は安静にしましょう。
【歯科医師による診断と治療法】
噛んだ時に歯が痛む時の診断と治療法は痛みの原因によって異なりますが、以下に主なケースをまとめます。
①虫歯(う蝕)
《診断》問診・視診・触診、レントゲンによる虫歯の状態の確認
《治療法》CO,C1:フッ素による進行の予防、再石灰化の促進
C2:詰め物(コンポジットレジンやインレーなど)
C3:神経治療後に被せ物(クラウンなど)
C4:抜歯後にブリッジや入れ歯、インプラントなど
②歯肉炎・歯周病
《診断》歯周ポケットの測定、出血や揺れの有無、レントゲンによる骨の吸収具合の確認
《治療法》軽度:ブラッシング指導、スケーリング(歯石除去)
中等度:SRP(深い部分の歯石除去)、歯周ポケットの改善
重度:歯周外科治療(切除療法、再生療法)
③噛み合わせの異常
《診断》噛み合わせのチェック
《治療法》詰め物や被せ物の高さの調整、就寝時にマウスピース使用、
全体の噛み合わせの状態を見直す(矯正治療など)
④歯や歯根のひび割れ、破折
《診断》マイクロスコープなどで視診、レントゲンやCTで確認する
《治療法》浅いひび:経過観察
深いひびや破折:神経の治療をして被せ物、抜歯など
『歯が痛くなってから通う』ではなく『痛くなる前に予防する』ために定期検診はとても大切です。
・早期発見
・重症化の予防
・口腔内を清潔に保つ
・全身の健康維持 など定期検診のメリットはたくさんあります。
【まとめ】
『噛むと歯が痛い』という症状は虫歯や歯周病、噛み合わせの異常、歯根膜炎、歯のヒビや破折など、さまざまな原因によって引き起こされます。初期の段階では違和感程度であっても、放置することで痛みが強くなり、神経の治療や抜歯といった大がかりな処置が必要になることも少なくありません。応急処置としては、痛む歯では噛まない、冷たい・熱いものを避ける、鎮痛剤や保冷剤などで一時的に痛みをしのぐことが可能ですが、あくまでも一時的な対策にすぎず、根本的な解決にはなりません。大切なのは『そのまま放置しないこと』です。
また、間違った自己判断は症状を悪化させる原因となります。自己流の薬の乱用や無理な食事習慣は控え、必ず歯科医院で診断を受けましょう。歯科医院では虫歯であれば進行に応じた治療、歯周病であれば歯石除去や歯周治療、噛み合わせの調整やマウスピースによるケアなど、原因に合わせた適切な治療を受けることができます。
さらに、日々のセルフケアや生活習慣の改善も欠かせません。丁寧な歯磨きに加えて、フロスや歯間ブラシの活用、砂糖の摂取を控えた食習慣、十分な睡眠やストレス管理が予防につながります。そして何よりも定期的な歯科検診を受けることで、痛みが出る前に異常を早期発見でき、将来の大きな治療を防ぐことができます。
噛む時の痛みは体からの警告サインです。応急処置に頼りきらず、早期受診と予防ケアを徹底して健康な歯を長く守っていきましょう!
歯の健康は食事や会話を楽しむだけでなく、全身の健康維持にも深く関わっています。小さな違和感を見逃さず、日常のケアと歯科医院でのプロのサポートを組み合わせることが、将来の自分への大きな財産となります。
安心して食事や会話を楽しむためにも、今日からできることを始めてみましょう!!
